第16話 転生したらスライムだった件
現実世界で恋人も家族もいなく、至って平凡な風格の社会人。
そんな彼は幸せそうなカップルを狙っていた通り魔からそのカップルを庇って刺され、その生涯を閉じてしまう。
──その人間としての死後……。
永い夢を見ている間に頭の中で響く説明口調な女性に彼の言葉を読まれ、ユニークスキル『捕食者』を獲得し、40代で経験なしという理由で『賢者』というスキルまでも自動的にプラスに……。
──次に目を覚ますと彼は転生し、薄暗い洞窟で水色のスライムとなっており、色々なものを捕食していくうちに最強のドラゴン、暴風竜ヴェルドラとも出会い、お互いに名前を付け合う。
そのドラゴンを捕食することで一気に最強の座についたスライムのリムル。
外の世界に出て、その捕食の力を武器にゴブリンや
リムルはシズの暴走によって生まれ出たイフリートを何とか捕食して倒すが、命が消えかけたシズから私も捕食してとお願いされ、リムルはシズを安楽死させる。
その影響でリムルは美少年の姿となり、以降、スライムと上手く利用して、この人間の姿も使いこなしていく。
──次々と相反する種族との戦いでもそつなくこなし、リムルは難なくと部下に引き入れ、いつものように名前を付けるさま。
さらに魔物たちとの同盟も結び、リムルは着々と力に権力、地位に、名誉をつけていく──。
──オープニングはももいろクローバーZによる『レナセールセレナーデ』という楽曲。
お茶の間でも話題となったアイドルグループからの壮大なパーティーソング的な応援歌。
最近では主流なデジタルペイントではなく、温もりのあるコピックの色使いとなっており、飛び出す絵本のような仕掛けの映像にも心さえも奪われる。
タイ出身の歌手、MindaRynの『Miracle soup』という弾き語りのバラードなエンディング曲も魅力あふれている。
物語では至ってまともな発想で、しかも着飾ってない自然体の清楚な美少女シュナが主役。
もしシュナが現実世界に住んでいたらという設定で、彼女の休日の過ごし方……起床から夕方までのお出かけ、就寝前のくつろぎタイムの流れをゆるふわなアナログな絵柄として描く。
──この物語は異世界ファンタジーの代名詞と言っていいほどの大作であり、小説家になろうから大ヒットしたアニメでもある。
ゲームではお馴染みの最弱なスライムなのに中身はチートスキルの持ち主という異色な主人公像リムル。
さらにそんなリムルの脳内だけに大賢者の女性アナウンスが響き、見たこと、聞いたこと、思ったことなどを勝手に頭の中でアップデートし、次々に自動的に置かれた状況を解読し、チートスキルが追加されていく。
そんな無限ガチャ要素にアニメ好きとして心が揺るがないはずがない。
──魔物の村や街の名前、詳しい地形や山脈、個性的なモンスターに魔王の登場、先の先を読むリムルのリーダーシップな政治体制。
物語設定も丁寧に描かれており、アクションシーンも滑らかで迫力がある。
今までにない異色な設定で、同ヒット作『リゼロ』と並び、異世界ファンタジーを語るには欠かせない作品の一つとなった。
──このアニメも第三期となったが、人気は衰えず、今も全力疾走な作品でもある。
……と言いたいところだが、第二期辺りから、本作の第三期の中盤まで魔王になったリムルと仲間たちが席に集まり、全員座って異論などを話し合う『軍議モード』というもので話数を占めており、第一期にあった滑らかな動きは過去のプレビューだけとなり、動きのない展開となっている。
この件により、この作品はオワコン(終わった)までと言われ、昔からのコアなファンを除き、次第に離れていく客層も多かった。
しかもその軍議も一段落し、注目のバトルシーンに入ったと思いきや、リムルやその仲間たちが強すぎて、いくら有能な敵が相手でも話にならない残念な結果に……。
その後は街で開催するお祭りの準備と、本来の敵と戦って悪を滅するという異世界ファンタジーような面影はない……。
そんな悩ましい点もあるが、書籍専用のCMまで放送され、コミカライズもどんどん発売されていく超大作でもあり、老若男女に愛される『転スラ』という代物。
今後も色々と物語が展開され、人智を超えた魔王として進化していくリムルの成長物語が描かれていくことだろう。
スライムとして無双なアニメではなく、多くのファンから、軍事力などの政論としての話題も尽きない、ちょっと大人な内面も持った異世界ファンタジー。
アニメとは子供が楽しむもの、そんな枠を飛び越えた新しい形のジャンルでもある。
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