第45話

「ひかりー!」


「あっ、おはよ」


「ごめんねー。待たせて」






今日は梨子ちゃんとお買い物





社会人になったら


制服、というわけにはいかず


服のレパートリーの少ない私は


梨子ちゃんに選んでもらうしか方法が思い付かなかった





「おっ、いいかんじ」


「そう?」


「ワンピースとか、Tシャツとかの方がいいよね」


「うん。上下合わせるの大変だから、基本、下はジーンズか、チノパンに合うやつがいい」


「了解」




梨子ちゃんは


私のことを障害者扱いしない





だから楽だ




「キャーっ!」


「イベントとか聞いてなーい!」







「なに?」


「なんかイベントあるんじゃない?ショッピングモールではよくあるやつだ」


「そうなんだ」





正直、興味ない





「え!?須賀光希がゲストなの!?


ひかり、ちょっと見に行ってもいい?」


「え?うん…」




買い物、付き合ってもらってるし…






「「「キャーっっ!!」」」



「こんにちは!須賀光希です」








光希?…どっかで…







「光希くんは若手俳優のホープですからね。今日は女子が多いですねぇ 笑」


「そうっすね。ありがたいっす笑」




「「キャーっっ!!」」






声が… 似てる





まさかね…笑





「光希くん、先日お誕生日だったみたいですよ」



「「おめでとー!!」」



「ありがとございます。笑 21になりました」







似すぎてる…




でも世の中には似てる声の人はたくさんいるだろ…







「ねぇ、ひかり、そういえばさ。

大分前に、ひかりん家の前で会ってた男の子、

最近会ってないのー?」


「え、なんで?」


「いや、そういえば須賀光希に似てたなぁって」


「え!?」


うそ…


「え、そこまで驚く?笑」


「いや…」





でも待って





もしそうだとしても


芸能人が私なんかに好意を寄せるはずはない





やっぱり


違う人




それか



ただ興味本意で告白されただけだ






「ひかり? ごめん、つまんないよね」


「大丈夫だよ?


あっ、私、トイレ行く。待ってて?」


「え?一人で行ける?人、多いよ?」


「うん。杖持ってきてるから」


「そぅ…わかった」

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