036 生きた証
「生きた証を残したかったな…」
ブラック企業に使い潰された兄は、最期にそんな言葉を残した。
既に結婚して家を出ていた私は、兄の窮状を知らなかった。
救急搬送された時点で身体はボロボロ。
心臓が動いているだけの肉人形だった。
だから。
最後の願いを叶えるため、兄の遺伝子を受け容れた。
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