騎士隊長さまをお招きしてダンジョン突入!

騎士隊長のヘレナに呼ばれたエミーとマチルダ

「知っての通り私は、この度騎士学校長に転属することになった。

 騎士隊長が空席になる。したがって新任隊長を選ばねばならないのだ

 そこでだ、エミー。キミを隊長に、マチルダを副隊長にする」

「えっ?私たちですか?もっと適任いると思いますが」

ヘレナは二人の前で首を振り

「キミたち以外に適任者はいない。これまで全員を見てきたから頼むのだ」

顔を見合わせる二人「どうする?」「どうしよう」

「すでに騎士団長には報告済みである」

「ええーーーー」

しばし沈黙する二人

「解りました私、隊長引き受けます」「わたしも副隊長として頑張ります」

「そうか!それでこそ我が部下だ。よろしく頼むぞ」

「はい」

貴族階級もいる部隊で平民出身が隊長と副隊長になるのは異例だが、

それだけ二人が適任だと言うことのようだ。

「マチルダ、私を助けてね」

「解ったよエミー隊長!私たちをよろしく頼むよ」と隊員全員が笑顔になっていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「マルグリット!準備出来ました?」

「はい、お嬢さま」

「では行きましょう!」

馬車に乗りセバスニタウンにある、お嬢さまのお屋敷へ。

目的は・・・エーリッヒの騎士としての力量をみることなのだ。

「一人で行かせますか?それとも」

「わたしとあなた、そしてエーリッヒさまでダンジョンに入りましょう」

「解りました。エーリッヒさまは、明日お屋敷に来ることになっています」

「それで、よろしくてよ」


いつものように使用人一同勢ぞろいでのお出迎え

「いらっしゃいませ、お嬢さま。滞在中誠心誠意対応いたします」

「バウンダリー、明日エーリッヒさまが到着されますから、その対応をお願いね」

「承知いたしました。ではどうぞ」


翌日

フェリシアは正装し、マルグリットや屋敷執事や使用人一同と玄関前に整列した。

エーリッヒさまのお出迎えをするためだ。やがて・・・

獅子と金の盃が描かれたルードヴィッヒ家の紋章をつけた豪華な馬車が到着。

「ようこそ、セバスニタウンへ。ごゆっくりお寛ぎ頂きますよう、

 わたしども一同、対応させていただきますので何なりとお申し付けください」

「フェリシアさま、お久しぶりです」

騎士隊長としての正装で馬車から降りてきたエーリッヒは、

まるで絵画から抜け出て来たかのような美しさに、使用人一同あっけに取られている


「どうぞこちらへ。エーリッヒさま」

フェリシアとマルグリットが先導して、お屋敷の応接間へ。


その後。

庭園を散策したり、セバスニタウンの街や近郊を歩き回ったり・・・

「いやぁなかなか素晴らしい街ですね。私もこんな街で暮らしてみたいものです」

エーリッヒが屋敷について三日後。

「エーリッヒさま、本日夜にあるところへ行きますが、ご一緒して頂けますか?」

「はい。フェリシアさまとなら、どこへでも」

「まぁ!エーリッヒさまったら。では、お時間になりましたらマルグリットが

 お迎えに伺います」マルグリットが一礼

「よろしくたのむよ。マルグリット」「承知いたしました。ではお時間に」


夜。

エーリッヒの部屋をノックするマルグリット。

「どうぞ」

「お時間ですのでお迎えに伺いました。どうぞこちらへ」

「ありがとうマルグリット」


マルグリットの先導でお屋敷の廊下を行く


ガチャ。

キーーーーーと古めかしい木のドアを開け地下室へ降りる階段を降りる。

「マルグリット、どちらへ?」

「・・・・」

首をかしげながら後をついていくエーリッヒ


あるドアの前でノックするマルグリット

「どうぞ」

ドアを開けるとそこに、あの事件の時に見たのとは違う甲冑姿のフェリシアがいた。

「フェリシアさま・・・なんと美しい・・・」

深い赤色のマント、鮮やかな赤い鎧に漆黒の大剣を帯び、金色の髪をいつもとは違うお団子ヘアにアレンジしている。

「エーリッヒさまの鎧もご用意しておりますので、お着替えを」

「えっ?いつのまに???」

それは使用人のバルデスが移動魔法を使って、こちらへ”飛ばして”来たものだ。

「さあ、私共と一緒に参りましょう!違う世界へ!!」

「違う世界とは・・・?」

いつのまにかマルグリットもメイド服風の黒い鎧に大鉈、公爵家の紋章の入った盾。

そしてエーリッヒも騎士隊長としての威厳漂う濃紺の鎧に銀色の大剣を腰に差し・・


「では」

「いざ参りましょう」

その部屋の奥の木のドアを、ギ~~~と音を立てて開ける。


まっくらな闇のなか、ところどころに薄暗いランプが点いている。


「どこへ行くのですか?」

「ついて来ていただければわかります」


しばらく進むと、前方にコボルトと思われる魔物が数体現れた。

走り寄るコボルトを、フェリシアがあっさり斬って捨てる。


その死骸を越えて進む一行。

お次はゴブリンの群れ。


斬っては捨て、突き、踏みつぶし、ありとあらゆる手段で群れを粉砕する

フェリシアとマルグリットは、返り血一つ浴びていないうえ、

息も上がらず平然としている。(この二人はいったい・・・)

訝しむエーリッヒに「エーリッヒさま、次に参りますわよ」


いったい・・・何だろうこの人たちは・・・



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