第33楽章 思いやり
トロンボーンパートの
「この部分なんですけど、パート内のバランスが上手く取れなくて」
コンクールも近くなり、生徒たちからのこういった質問や相談も増えてきた。生徒たちが自分たちで吹き方、演奏の仕方を考えるのは大事なことだ。
神楽坂は
「あ、あとここなんですけど」
熱心に質問をする
「最近パート練習の様子はどうだい?」
と気になっていたことを
「俺、気づいたんですけど」
「
「
「そうなんす! マウント取られるの、自分も嫌なんで、自分がそうなっちゃうのはもっと嫌で。でも、マウントとかじゃなくって、こうすればもっとよくなるよって言えると、相手の演奏がよくなるし、吹けたー!って喜んでるのを見ると、自分も嬉しいと思えるようになって。そしたら、あー、言ってよかったなってなったんですよね」
「マウントをとる感じにはならなかった?」
「今のところは、うん。多分そんな風にはなってないと思う」
「それは、香山さんの伝え方もよかったんだろうね。相手を思いやる気持ちが伝わったんじゃないかな」
「そうなのかな。せっかくパート練習やってるんだし、それが
「実際、トロンボーンパートは良くなってると思うよ」
「本当っすか」
「何より、
それになにより、
最近、
♪今日のワーク――――――――――――――♪
誰かが間違っているなと気付いた時に、教えてあげる? それとも本人が気づくまで放置する?
明らかに違う時には、多分教えてあげると思う。教えてあげなければ、多分合奏で指摘されると思うけど、もしあらかじめ教えてあげていればその人は間違えて吹くこともないし、合奏を止めることもないよね。
明らかな間違いじゃなくても、ここはこうした方がいいのに、ここはこう吹くべきところなのに、というちょっとしたことも、同じことじゃないかな。
もし気づいたなら伝えてあげよう。それが、思いやりだよね。
もしかしたら、相手は別の考えがあってそう吹いているのかもしれない。
その場合は、お互いに話そう。どっちの方がより良くなるか。もしかしたら、もっといい方法が見つかるかもしれない。どうしても解決しなければ、指揮者に
どちらが正しいとか優れているってことではなくて、どういう音楽を作りたいかってことになると思うから、勝ち負けではないよ。そこは間違えずに。
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