作者の操り人形になりたくない男
夜桜紅葉
勝負だ作者ァ!
俺はこの世界が小説であることに気がついている。
ジャンルはラブコメ。
鈍感系かつ難聴系主人公というのが俺の設定だ。
当然ヒロインもいる。
こっちはツンデレかつ俺の幼馴染。
まぁこの時点で言いたいことはあるのだが、一旦スルーしよう。
俺に好意を寄せるヒロインが不器用ながらもなんとか想いを伝えようとあたふたするのがこの物語だ。
そこに関しては別に文句はない。
しかしッ!
俺にはどうしても許せないことがある!
作者がどう考えてもツンデレの加減を間違えているのだ!
肝心のヒロインが全然魅力的じゃない。
これは大問題だ。
なにせ、作者の思惑通りに事が運べば、俺はこのヒロインと結ばれることになってしまう。
そう考えると、俺は涙がポロリしそうになる。
きっと神様がこんな俺を哀れに思ったのだろう。
ある日、俺は唐突に自分が小説の世界の住人であることを知り、さらに自分の意思で行動することが出来るようになった。
今まではそんなことあり得なかった。
作者の思い通りに動かされていたのだ。
しかし、今では作者の意思に反して自由に振る舞える。
クックック……。
さぁ、反撃だ。
ご都合主義のラブコメに抗ってやる。
自分の幼馴染にこんなことを言うのもどうかと思うが、あんな奴のフィアンセはごめんだ。
俺の物語は俺が選び、俺が紡いでいく!
勝負だ作者ァ!
お前がどれだけ強引にくっつけようとしても、俺は絶対に逆らってやる!
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