SATAN-サタン-〜モモカと悪魔〜

大崎あむ

[お便り返信]

お便り返信・PNうみ様

うみさん、お久しぶりです✨

今回もご拝読頂きありがとうございました!


そして、また凄くご丁寧な感想を頂いてしまって、感動しております……。

今まで感じた事がないくらい嬉しい感想文でした。

前回の感想もですが、本当に素敵ですし、やはり著者からすると、うみさんの文のような心のこもったメッセージを頂くと、こちらも感動します……。

うみさんがお時間を割いて、この小説の為に文を綴ってくださった事、誇りに思ってます。


それでは以下返信になります。

(長いので、お時間がある時に是非お読みいただけたらと思います)



【#10】


・グーちゃんはメインキャラの4人の中ですと、割と女性人気が高いキャラですね。男女問わず好まれる『主人公』を目指してはいます!


一生懸命、文字を覚えたり彼なりに必死です。

生活の為に文字を覚えなければいけないというのも理由の1つですが、1番の理由はモモカと意思疎通が取れるようになりたかったからだと思います。



・グーちゃんとモモカは『グーモ字』を考えている時系列でも既に『絆』がありますよね。

グーちゃんはやっぱりモモカの事が心配で、この頃から『家族』的な関係だと自覚しています。

今まで家族がいなかったグーちゃんにとって、モモカは愛おしい存在だったと思います。



・#10で二人が笑顔になっている描写を見ると、お互いの信頼関係が伝わりますよね!

モモカにとってはもちろん、グーちゃんにとってもモモカは絶対に居なくてはならない存在になっていました。グーちゃんはモモカと過ごす内に彼女の『愛』を知ってしまったんです。

愛が彼をここまで成長させたのだと思います。



【#11】


・そうですよね。ルミルは名前が出る前は『モブキャラ』っぽい感じだったので、読者的に良いイメージが無いと思います。

実は、ルミルとシラスは10話執筆時には存在してませんでした。

なのでホントのホントに気まぐれで生まれたキャラです。

(もちろん今は、二人とも大好きです笑。また以下の話は、うみさん以外の方に話した事はないので面白がって頂けたらうれしいです。)


シラスとルミルは小説の構想段階では存在してないキャラクターだったんです。

小説のオチも決まっていましたし、この二人が居なくても成立するんです。

なので10話執筆時は『11話』ではモモカとグーちゃんのストーリーを動かそうとしてました。


ですが、グーちゃんと交戦していた女性がどうなったかを書かなければいけなく、ルミルじゃない形で登場させるプロットが存在しました。

そのプロットではシラスは居ないので彼女は1人でした。

またファミレスでバイトしている設定があり、バイトの同期の女の子と親しんでいるエピソードがあったりと、ルミルとは全く別の存在でした。

そこに、グーちゃんがたまたまファミレスを利用して、女性と再開する展開になり再度交戦します。しかし、お互い魔力が使えない為、普通に殴り合いになります。

逃走するグーちゃんを女性は追いますが、辿り着いた先が病院で、モモカの世話をしている素振りのグーちゃんを見て、攻撃出来なくなるんです。

嫌気が差した女性はその日はグーちゃんを仕留める事なく、帰宅するというプロットでした。

因みに女性の名前は『ルミ』でした。


というプロットを一回書いたんです。

コレじゃない感が凄くて、全部ボツにしました笑。

芸人はやはり、『ルミ』に魅力をあまり感じなかったからだと思います。


当時、凄く悩みました。

どうしたらいいものかと笑。


考えた末に、女性の『その後』を書かなければいけない定めなのであれば、もう好感持てるキャラにして、第2ヒロインにしてしまおうと思いました。


でもこの小説、ハーレム物じゃないんで、グーちゃんをヒロイン達が取り合うみたいな構図にはしたくなかったんです。

なので、もう1人男キャラを追加しようってなりました。

それが『シラス』です。


シラスのコンセントは、グーちゃんとキャラが被ってなかったら、なんでも良かったです笑。

なので、せっかくなので、やりたい放題できる奴にしようって感じでした。

他のキャラみんな真面目な性格なので、やりたい放題できないんですよね。

なのでバランスとれるかなって感じでした笑。


そしてシラス&ルミルを、元々作っていた『お話の流れ』に押しこんで再編成したってかんじです。


グーちゃん&モモカ、シラス&ルミルの、両ペアの出会いは、先程のプロットとは全く別で、読者の方が納得のいくシナリオになってますのでお楽しみにしていただけたらと思います。

ルミルとモモカがカギになります!



・うみさんが仰るとおり、ルミルとグーちゃんは個人的には恨みは無いです。

なので違う形で出会っていたら仲良くなっていたかもしれません。


・食べ物の表現、褒めて下さりありがとうございます!

ルミルの食レポですよね笑

美味しそうに食べてるのが伝わればいいなと笑。


・ルミルの『目玉焼きトースト』のくだりは、うみさんが仰るとおりで、ルミルがどんな人生を送ってきたかを深く表してるとおもいます。


ルミルは生まれも育ちも良いので、過去にもっと良い物を食べてます。

しかし、実はルミルはシラスと出会うまでに雑草スープを食べるような極貧生活をしています。

贅沢と貧困のどちらもルミルは知っているんです。


また、ルミルは育ちは良くても、雑用や家の手伝い等をした事がないので、彼女が一般市民の生活水準や労働の苦労を知るきっかけになったのが『シラス』となります。


しかし、彼女も極貧生活の体験がある為、節約等の理解がしっかりある段階でシラスと出会ってます。

『スーパーのおしぼり』などもそうですが、彼と一緒に知恵を使って生活するのは、ルミルも案外楽しんでるようです。


・実は作者的にもルミルは『注目キャラ』として見てもらいたいと思ってます。

メインキャラ4人の中で一番影が薄くなりそうと予想したのがルミルでした。

逆手を取ってルミルの掘り下げからストーリーを進めてます。

一方、シラスはキャラが濃いんで、登場回数が少なくても、案外記憶に残るので少しだけならホッといても大丈夫です笑。


グーちゃんとモモカが押し負けそうになるくらいのロマンチックが16話以降待ってますので、お楽しみにしていただけたらと思います✨



・ルミルとシラスはお互いに好きですね!

ですが、うみさんが仰るとおり、2人の視点では『好き』のニュアンスが若干異なります。


シラスは異性としてルミルが好き。

ルミルは家族としてシラスが好きという風な感じです。


お互いの価値観を箇条書きにしてみました↓


[シラス視点]

・ルミルが異性として可愛い。

・彼女にしたい

・結婚したい。

・イチャイチャしたい。

・理想の彼女


[ルミル視点]

・シラスは大切な家族 

・一緒にいると安心する

・既に家族なので、彼氏の対象として考えた事がない。

・シラスとイチャイチャするビジョンが浮かばないのでよく分からない。

・シラスが自分に好意を寄せていること自体は凄く嬉しい。

・もし告白されたら付き合うけれど、イチャイチャしたい訳ではない。

・愛はあるけど、性癖ではない。



というのが、#11時点でのお互いの価値観です。


ルミルはシラスが好きなんですけど、ドキドキしてる訳じゃ無いって感じです。

ですが、彼氏以上の絆があると自覚してるのも事実です。


総括すると、ルミルから見たシラスへの愛は凄く複雑です。

それは、ルミルがシラスに対して、色々工程をすっ飛ばして『家族』と認定してしまったが故にすれ違いが生じているからです。


ルミルはシラスに対して発情するのではなく、クラウスの様な家族の抱擁を覚えるのが先だった為、『家族』と認定する方が早かったのです。

ドキドキする工程をすっ飛ばして『絆』が芽生えちゃっているんです。


また、モモカのグーちゃんに対する恋愛感覚もルミルと似ていて、『異性』であることよりも『家族』であることが先行してます。

しかし、モモカの場合グーちゃんが性癖だったので、ドキドキを取り戻すのが早かったという感じです。

モモカの場合は、本編でも既に恋する乙女になってます。


どうでしょうか。

頑張って言葉にしてみました。

うみさんの解釈と一致していますでしょうか笑。


とはいえ、ストーリーが進めば、ルミルの価値観はもう少しアップデートされていきます。

今まですっ飛ばしたドキドキを取り戻していく感じです。

いつかルミルが100%シラスにドキドキする瞬間が来るかもしれませんね!



・お風呂の札は2人で考えました。

 文字はシラスが書いてます。



・ルミルは将来的にシラスとずっと一緒に居たいと考えてると思います。

シラスと話したり、絵を描くことが彼女の生きがいになっているのでしょう。

 

【#12】

 

・ルミルの居た世界についての解釈は、うみさん当たってます!凄いです!


ルミルの居た世界は、後に悪魔が支配することになり、悪魔の世界、通称『魔界』と呼ばれるようになります。

なので、ルミルは色々な世界を行き来している訳ではないです。


そして、自分達の世界を悪魔から取り戻すのがルミルの使命でもあります。



・実は、SATANの中で『悪魔』という設定を産み出したのは、黒幕の一人、『夢村マサキ』になります。

しかし、彼が悪魔を従える『頭領』なのかというと、『YES』とも言えますし『NO』とも言えるんです。


『悪魔』というマサキが考えた設定は、もう既に自身の手から離れ、自立しているんです。


そもそも、マサキって今、何処に居るの?という話なのですが、彼は今SATANの中でも、モモカとは異なる病院で『病棟生活』を送っています。


#10や#11などの時系列におきまして、マサキは『因果指数』と呼ばれるエネルギーを使い果たした事が原因で記憶を失っています。


マサキは何度も何度も『モモカ』を抹殺し、何度も世界を書き換えているんです。

そして今回、世界を書き換える為に使用した『因果指数』が0になった為、彼は記憶を失い、自身の身体も『病人』の頃に戻ったのです。


つまり、今回の世界線では、まだマサキは悪さをしていないんです。

マサキが『因果指数』を使用して産み出した『悪魔』という設定が、手の平から離れて、勝手に歴史を作り、勝手に暴走してるんです。


それがルミルの居た『世界』を侵食し、暗黒に変えてしまったという感じです。

そしてルミルのいた世界は『魔界』と呼ばれるようになりました。


なので、マサキは現在#10や#11の時系列で悪魔たちに関与してないんです。

そうなると彼は現時点では『悪魔の頭領』とは言えないでしょう。


しかし、これはマサキの作戦の一部です。

彼はSATANの破壊を目論む天敵『ジーニアス・タイター』(以下、タイター)を抹殺する為に、仕方なく『因果指数』を使い切ったのです。


タイターは『小説本編が始まる前の世界線』でマサキと死闘を繰り広げてきました。


タイターは『特異点』と呼ばれる“SATANのルーターを使用した人物”を探していました。

(本編では、モモカ、マサキ、シラス、盗堂 が該当します)

(盗堂は新キャラです)


彼は、自身のタイムマシンを再度動かす事ができる『特異点』を必要としていました。

タイムマシンを動かす事が出来れば、SATANの『コア』が隠されている『デバックルーム』に行く事ができるからです。


その為、小説本編より前の世界線でモモカかマサキのどちらかの説得を試みます。


最初に一番安全そうなモモカを頼りにします。

しかし、『モモカ』には断られました。

何故なら彼女は『怪盗クラウンのコピー』とカップルになっていて、結ばれており『偽りの世界』を愛してしまったからです。


モモカは、タイターに事情を全て説明されても、SATANを破壊する事に反対しました。


次にタイターは、マサキをターゲットにします。

しかし、タイターはタイムマシンから情報を得ていて、マサキが危険な人物である事を知っています。


最初からマサキを信用せず、彼をおびき出す形でタイムマシンに乗らせます。

無事、デバックルームに着き、これからコアを破壊するという直前に、マサキに裏切られます。


隠し持っていたナイフでマサキはタイターを攻撃しようとしますが、デバックルームの機能を使われタイターに逃げられます。

(この時、タイムマシンはデバックルームに置き去りになってます)


タイターがワープした先は、モモカとマサキの居たルーターの世界とは別の世界です。

マサキとモモカが頼りにならないと分かった時点で、タイターは最初から『ワールド移動』をするつもりでいました。

しかし、『ワールド移動』はデバックルームを経由する必要があり、デバックルームに行く為にタイムマシンを動かせる『マサキ』が必要だったという事です。


作戦が上手くいったタイターは、次のワールドで新たな『特異点』を探そうとします。


しかし、マサキは『自分の持つ全ての因果指数』と引き換えに、SATAN内のルーター世界の壁を壊し、タイターの逃げた先の世界と自分の世界をつなげ、モモカとマサキ以外の“特異点の持つ権限”である『特異権』を失脚させるプログラムを実行します。


その瞬間、世界は再編成されます。

特異点の中でも、『因果指数』の使用が多かったマサキとモモカの思想に偏る世界が誕生します。

他の特異点の思想も反映されてますが、誤差程度の僅かなモノとなりました。


コレが小説本編の世界となります。


完成された世界ではマサキとモモカ以外の特異点は、“特異点の持つ特権”である『特異権』を喪失しています。

これにより、タイターが“モモカとマサキ以外の特異点”と協力して、SATANのコアを破壊する事が不可能になりました。


マサキはその代償として、『因果指数』が回復するまでの1年間、記憶を失くすことになります。


しかし、タイターはマサキが世界を繋げ、再編成する事も予想範囲内でした。


タイターの狙いは、デバックルームに置いてきた『タイムマシン』を回収することです。

デバックルームに存在するものは、世界が再編成されると同時に、存在するに相応しい場所に再度置かれます。


タイターのタイムマシンは、再編成された世界の何処かに移動しました。


再編成された世界は、全てのルーターがひとつながりになりましたが、壁が存在しないだけで、ルーターごとの世界は存在します。


それが本編における『裏世界』と『魔界』の関係です。


#1でルミルとグーちゃんが通ってきた『異空間』の正体は、マサキの世界改変で行われた『ルーター』と『ルーター』を繋ぐ道だったという訳です。


元々はルーターごとに違う『文明』が構築される仕様なのですが、現在はマサキが再編成したので『部屋』は存在しても、中身は真っ暗な宇宙空間です。


では何故、『魔界』のルーターだけ、文明が築き上げられていたのかという話になります。

マサキが新たな世界を構築した時に、『悪魔』というワードを使用したのですが、それがモモカの『因果思想』で創り上げる世界と矛盾していた為、もう一つ空いているルーターに『悪魔の存在する世界』をプログラムが勝手に作ったという感じです。


そこで勝手に悪魔たちが文明を築き上げています。


運が悪い事に、シラスの『因果思想』であるルミルは、魔界のルーターで産まれ育つ設定として、プログラムに組み込まれてしまったという感じです。


まとめると、マサキが生成した新たな世界は、『魔界』と『裏世界』の2つだけで構成されており、他に部屋は存在しても中身は何もそんざいしない『宇宙空間』になります。


(また、裏世界には日本以外の国も存在する設定なのですが、実際に『特異点』は行く事が出来なかったりと、因果関係の一部が断たれています。なので、実質日本以外の世界は存在しないという感じです。コレは、モモカとマサキの『海外』のイメージが乏しいという理由から、日本以外の世界を生成出来なかったという経緯があります)


また、『特異点』は宇宙空間のルーターには存在せず、『魔界』か『裏世界』のどちらかに存在するという設定です。


そして、タイターも『魔界』か『裏世界』のどちらかに存在しており、彼目線のストーリーで『タイムマシン』を探す所からスタートします。


余談ですが、#1では『天衣石』というアイテムを使用しなければ、『異空間』の入り口を開ける事が出来ませんでした。

コレは、モモカの母親が『裏世界』に来る時に、元々開いていた穴を魔法で塞いだからという経緯になってます。

その為、今回の『設定』にのっとりまして、異空間の穴を塞ぐ『術式』を解除するアイテムを使用したという感じです。


グーちゃんもルミルも『天衣石』の事を『異空間を出現させるアイテム』と勘違いしてますが、実際には『封印の為の術式を解除するアイテム』です。


話は戻り、新世界の編成後、タイターは時空防護スーツを着ている為、記憶改変を起こしませんでした。

タイターが降り立った場所は魔界でした。


魔界は既に暗黒に染まっており、タイターは『魔界』のルーターがマサキの『因果思想』が影響していると察します。


タイターは、SATANの設定を把握できる『スマホアプリ』を前の世界線で開発していました。

また、スマホも時空防護スーツに入っていたため、時空改変の影響を受けず、アプリやメールの履歴が残っています。


タイターはアプリで、

・ルーター世界が2つ存在する事

・ルーター世界の壁が壊された事

・特異点の反応がモモカとマサキのみであること

・特異点の座標が把握できない事

・タイムマシンの座標


を確認します。


まず、タイターはタイムマシンを探しに行きます。

以外にもタイムマシンはすぐ近くにあり、魔界のとある湖のほとりにありました。

タイターはすぐに駆け寄り、タイムマシンの安全を確認しようとします。


しかし、タイムマシンの中から高校生くらいの『日本人の少年』が出てきます。


名前は『盗堂覇詰(とうどうはづみ』


タイターは盗堂にタイムマシンで何をしていたかを聞くと、盗堂は『タイムマシンで遊んでいた』と言います。


しかし、本来タイムマシンを動かせるのは『特異点』だけなので、タイターは盗堂が『特異点』なのではと察します。

タイターは盗堂にSATANの一連の事件の事情を説明し、コアを破壊する事に協力してもらいます。


そしてタイターは盗堂とタイムマシンに乗り、再度デバックルームを訪れます。


盗堂にコアを破壊してもらうおうと試みますが、盗堂には権限が無いとSATANのAIに言われます。


タイターは直ぐにデバックルームのプログラム履歴を確認します。

すると、マサキが『因果指数』を全て使い、正樹とモモカ以外の『特異権』を失脚させていた事実を知ります。


しかし、タイターのタイムマシンはSATANのルールとは因果関係を持たない為、『特異権』を失った盗堂でも使用できるという事でした。


次にタイターは『ルーターを繋ぐ穴』が何処にあるかをスマホで調べ、盗堂と一緒にタイムマシンで座標ワープします。


すると辿りついたのは、魔界の何処かの森の奥でした。(#1で登場した森)

遺跡のように石造りのオブジェが各方面へと置かれており、意味深な石台もあります。


タイターは魔界の文明が気付き上げた『信仰』に由来するオブジェクトではないかと予想します。

それに意味があるかどうかは不明とタイターは言います。


そして、スマホの示す『ルーターの穴』の座標に来た訳ですが、全く見当たりません。

(既にモモカの母親によって魔法で塞がれています)


タイターは魔界の文明が関係する、誰かによるしわざと予測します。


次に、遺跡の奥にある『洞窟』を調べ、一体何の遺跡かを調べます。


洞窟の中にある石碑を懐中電灯で照らすと、巨大な壁画が出てきます。



タイター「何だコレは……」


盗堂「うわぁ、悪趣味な絵だなぁ……」


壁画には巨大な悪魔が描かれており、タイターはスマホで文字を解読し読み上げます。


盗堂「オジサン、コレ読めないの?」


タイター「僕のスマホに、解読アプリが入っている。どうやら、この世界の文明の文字の一つと見ていいようだ」


盗堂「何て書いてあんの?」


タイター「偉大なる創造神、ウカ・ウガイーテ……と書いてある」


(ヘブライ語で『彼女と共に一つになる』)


盗堂「変な名前」


タイター「コイツがどうやら黒幕みたいだ。夢村の『因果思想』そのものと言っていいだろう」


盗堂「このヘンテコ悪魔ちゃんが、このルーターの文明を創り上げたって感じだね!!」


タイター「あぁ、そう見るのが自然だ。となると、こいつは夢村そのものを具現化した様な『概念』と言っていい。奴が目を覚ました時、必ずこの悪魔との因果関係が発生するだろう……」


盗堂「ふーん。記憶を取り戻すと因果関係が発生するんだね」


タイター「そうなった時、奴がこの悪魔の『力』を利用する形になるだろう……。それまでに『夏目モモカ』を見つけ出し、説得してコアを破壊する。タイムリミットは……多目に見て1年間だ」


盗堂「じゃ、一年で『モモッチ』を説得出来なかったら?」


タイター「その時は……夢村と戦うしかない」


盗堂「でもさぁ、そんな短時間で人を説得できる保証どこにも無いよ?それだったら夢村をボコボコにする方に専念した方がいいんじゃない?」


タイター「そうだ。だからキミに頼んでいるんだ!!その為には、キミがこの世界の法則に順応し、最高の設定を叩き出さないといけない……。キミに世界がかかっているんだ、盗堂ハヅミくん」



盗堂「ふーん……。で、オジサンはボクに何をくれるの?」


タイター「くれる……?報酬の事を言ってるのか?」


盗堂「まさか、タダで協力してなんて言わないよね?」


タイター「報酬は、キミがSATANから抜け出す事だ。それじゃダメなのか!?」


盗堂「ダメに決まってるジャーン!!だってボクは別にこの世界に居たっていいんだからさっ!」


タイター「いい訳ないだろ!!キミも『夢村』に侵食されるんだぞ!!僕はキミ含め、出来るだけ多くの人を助けたい」


盗堂「……で?」


タイター「……は?」


盗堂「だから、でっ?って。僕はここに居てもいいって言ってるじゃん」


タイター「キミは……。一体何なんだ」


盗堂「面白い事のある世界の方がボクは好きだからねっ!!オジサンが言ってる事が何処までホントかわからないしっ!!」


タイター「……なら、キミは一体何を望むんだ」


盗堂「そうだなー」


タイター「……」 


盗堂「ボクのやり方に口を出さなかったら、その計画に協力してあげるよ!」


タイター「キミのやり方……?」


盗堂「例えば、どんな惨殺行為も残虐行為も、オジサンは口出ししちゃダメ」


タイター「……そんな事、時と場合による。キミが間違った行動を取れば、SATANを破壊できなくなる可能性だってある」


盗堂「もちろん、アドバイスは聞くよ!でも、それを実行するかどうかはボクの判断によるって事!!」


タイター「……」


盗堂「どう?やる!?」


タイター「分かった……。ただ一つだけ約束してくれ。何か行動をする時は、必ず僕に相談するんだ。そこだけは……譲れない」


盗堂「……ふーん。いいよ、わかった!じゃ契約成立って事で」


タイター「はぁ……。なら、早速会議だ」



タイターは遺跡の中にタイムマシンを隠すと、盗堂と会議をはじめます。



タイター「まず、キミにはこの世界の食べ物を食べてもらう。そうすれば、『特異点』であるキミはこの世界の法則に順応できる。それに伴い、ありとあらゆる、このルーター世界の普遍的な情報がキミの脳にインプットされる」


盗堂「えー、ボク偏食なんだよねぇ。マズいモン食べたく無いよ」


タイター「コレはキミにしか出来ない事なんだよ!僕が出来るなら自分でやってるさ!!」


盗堂「でもさー、食べ物なんて何処にあるんだよ。見た感じ、人間が居るかすら怪しいけど」


タイター「コレだ」



タイターは雑草をちぎり取る。



盗堂「まさか、ボクにそんなバッちいモン食べろなんて言わないよね!?」


タイター「悪いが、コレしかないんだよ」


盗堂「……」



盗堂は嫌そうな顔をして雑草を口にする。



盗堂「うぇえ……」


タイター「飲め!!飲み込むんだ!!」



盗堂は雑草の先っぽをかじりとり、飲み込む。



タイター「……」


盗堂「……」


タイター「どうだ!?……何か変化があったか!?」


盗堂「すごいや!この世界の設定が全部頭の中に流れ込んでくる!」


タイター「何か、分かった事はあるのか!?」


盗堂「うん。街一個、破壊出来そう!!」


タイター「冗談だろ?どんな文明であれ、直ぐに高度な適応は出来るわけが無い……」


盗堂「やってみる?」


タイター「見せてくれるのか……?」


盗堂「いいよ。オジサンには特別ね」


ズドーン!!!!


盗堂は指から光線を出し、ウカ・ウガイーテの壁画を破壊した。


盗堂「これで、気色悪い壁紙は無くなったね」


タイター「……」


盗堂「まっ、コレはボクの一部に過ぎないんだけどね!!さぁ他には何してやろっかなぁ!!」


タイター「キミは一体、何を願ったんだ?」


盗堂「は?」


タイター「キミの『因果思想』は何だったと聞いてるんだ!!」


盗堂「さぁね?そんなモン忘れちゃったよ」


タイター「惚けないでくれ、ハヅミくん!キミは気付いているんだろ!!夢村に勝つ方法を!!」


盗堂「……」


タイター「……」


盗堂「なーに言ってんの?ボクは唯、遊びたいだけなんだけど?世界の支配者になるのは夢村じゃなくて、このボクだって事。だから最初言ったじゃん。オジサンは口出しいないでねって」


タイター「それがキミの答えなのか!?」


盗堂「そう。オジサンはボクと夢村のゲームを見てればいいんだよっ!!因果なんたらとか、そんなモンを観客が考え出したら、冷めるでしょ!?オジサンは最前列の観客なんだからさぁ」


タイター「観客!?はぁ……。どうしても教えてくれないみたいだね。なら僕は、キミを調査して解読するまでだ」


盗堂「どうぞ、ご勝手に」


タイター「ハヅミくん、一つ聞かせてもらえないか?キミは何故そんなに楽しそうなんだい?僕が言うのも変だが、普通はこの状況、恐がる筈なんだが……」


盗堂「恐い?まさか。今最高に楽しいじゃないか!!だってさタイター、このゲームは僕がボスを倒しても勝利にはならないんだよ!?ゲームに勝つには、モモッチか夢村を説得しなきゃいけないんだ」


タイター「そうだけど……。それが、どうしたんだい?」


盗堂「それが楽しいんじゃないか!だって僕が幾ら強くても、勝利には直結しないんだ!そんなゲーム、ワクワクするに決まってるじゃないか!」


タイター「……やはりキミは、狂人みたいだ。どうやら僕は、どの特異点よりも『キミ』に興味が湧いてきたみたいだ。皮肉にもね」


盗堂「それはそうとさ、今まで夢村はどんな方法でモモッチを抹殺してきたの?」


タイター「奴は、薬物投与を行い『夏目モモカ』を手にかけてきたようだ」


盗堂「それって毎回?」


タイター「あぁ、毎回同じ手法を取っている。どうやら夢村には、ポリシーの様なモノが存在しているみたいなんだ。恐らく『夏目モモカ』を出来るだけ苦しませたくないという感情が働いている。例え、この仮想じみた場所であってもね?」


盗堂「つまり、例えナイフで滅多刺しに出来る状況であっても、モモッチをヤレないって事だね?」


タイター「少なくとも、夢村本人は手を下せないと見ていいだろう……。夏目モモカの苦しむ顔を見れないんだろうね」


盗堂「タイター、それ最高に面白いよ……」


タイター「イヤな事を考えてる顔だね。一体何を思いついたんだい?」


盗堂「まぁね?ボクの方で考えがまとまったら、教えてあげてもいいよ?」


タイター「……」


盗堂「さぁ、面白くなってきたぞ!夢村……」


(盗堂の因果思想は『何でも叶う世界』です。

そのワールドの秩序や法則にのっとり、盗堂はある程度何でも奇跡を起こせます。

しかし、代償として自身の『因果指数』を消費しますので、実質、回数制限が設けられています。


また、盗堂は作中で唯一『因果指数』を魔力に変換出来るキャラです。なので彼は身体の『経絡系』に魔導が流れていないのですが『因果指数』を消費する事で魔導を生み出します。


魔導関連以外でも『因果指数』を多く消費することにより、文明から逸脱した『奇跡』を起こす事も可能です。

『魔導術』はこのルーターの文明の範囲内なので、消費する因果指数が少ないです。

コスパがいいので、基本的には魔導を使用して戦います。)



 ✳︎


〔1年後〕


盗堂「じゃあね、タイター。あとは頼んだよ」


タイター「ハヅミくん!!!」


自爆特攻する盗堂を見守るタイターの姿。


 ✳︎


〔遺跡の中〕


タイターと盗堂の全ての記録が、グーちゃんの頭の中を駆け巡る。


グーちゃん「何だ……コレは!?まさか、盗堂の記憶なのか……!?」


すると遺跡の中のタイムマシンから、見知らぬ男(タイター)が出てくる。


タイター「ようやく、見つけたよ……ラル・クロード。いや……今は敢えて『怪盗クラウン』と言うべきか」


タイムマシンの前で佇むグーちゃんとタイター。


グーちゃん「……!?」


タイター「僕はジーニアス・タイター。      

『SATAN』の外から来た者だ」




           ◇◆ 託された想い──。


         【SATAN #52・来訪者 終】


       

────────────────────

【SATAN・#53】


 夢村(第1形態)を倒す為に自爆した『盗堂』の記憶を見たグーちゃん。


 しかし、それはグーちゃんの予測から遥かに逸れる、理解不能な『真実』ばかりであった。


 盗堂と『親友』であったと語る謎の男、『ジーニアス・タイター』。

 

 彼は、タイムマシンの研究をしていたが、とある事件に巻き込まれて、この世界にやって来たという。


 タイター曰く、この世界は、自身が産み出したプログラム技術『パラレルコード』を悪用した隔離宇宙創設機『SATAN』の中であるという。


 タイターは盗堂と協力し、SATANに囚われた人間を解放しようとしていた。

 盗堂はグーちゃんの視点から見ると、モモカを拐おうとしたりと、かなり危険人物であったが、実はSATANのコアを破壊する計画に一役買っていた事を説明する。


 夢村の攻撃により、離れ離れになっていた盗堂とタイター。


 しかし、盗堂はタイターとの約束を守り、『夢村』と戦いながら『モモカ』と『グーちゃん』の『絆』を成長させる為の行動を取っていたという。

 二人の絆が最高に達する事が、SATANを破壊する為に最も必要な事だと『盗堂』に教えたからだとタイターは語る。


 盗堂の意志を引き継ぐタイター。

 その意識を次に託すのは『グーちゃん』であり、ずっと探していたといいます。



タイター「僕はもう数年、この世界を彷徨っている。SATANを抜け出すには心臓部である『コア』を破壊しなければいけないんだ。しかし、それを行えるのは『特異点』と呼ばれるSATANの核となっている人間だけなんだ」


グーちゃん「特異点……?」


タイター「夏目モモカちゃん……。彼女が今回の“特異点”だ」


グーちゃん「その“今回”っていうのどういう意味だ」


タイター「この世界は何度も滅び、何度も再生している。まるでコンピューターゲームの様にその姿を変えて、物理的な概念を超越し、この世のありとあらゆる常識と法則を全て無視して、新たな世界を生成する……」


グーちゃん「……なに、言ってんだ?」


タイター「この世界は、そうして生まれた。現に僕のいた世界では、魔界や魔導なんてものは存在しない。全ておとぎ話の範疇はんちゅうだ」


グーちゃん「……!?」


タイター「そしてこの世界、一体誰が創造したと思う?それが、モモカちゃん。そしてもう1人、夢村マサキという少年なんだ」


グーちゃん「は……はぁ……?」


タイター「二人の理想と願望が詰め込まれた世界。それは互いに思想が反発し合う、両者にとっての不完全な世界が生まれるという事だ」


グーちゃん「モモカさんは、この世界の人間じゃないっていうのか!?」


タイター「その答えは半々だ。そうとも言えるし、そうでないとも言える」


グーちゃん「はぁ……?」


タイター「何故なら、今現在はこの世界の住人として成り代わっているからだ。ドッペルゲンガーとでも言うべきか……」


グーちゃん「ドッペルゲンガーって……。俺の知っているモモカさんが偽物とでも言いたいのか!?」


タイター「話をややこしくしない為に敢えて言う。この世界のモモカちゃんはパラレルワールドが生み出した偽物だ」


グーちゃん「!?」


タイター「けど、今は半分本物でもある。何故なら、モモカちゃんの魂はこの世界に移動してしまったからだ。僕の世界に居るモモカちゃんは、今“抜け殻”になっている」


グーちゃん「やめろ……。俺はアンタの話を信じる事が出来ない……。全てデタラメだ」


タイター「らしくない。キミはもっと知的で、論理的に物事を考える事ができる人の筈だ。それなのに、全てを投げ出し、都合が悪いと目を背けるなんて、キミらしくない」


グーちゃん「こんな話を直ぐに受け入れろと言う方がどうかしているっ!!モモカさんが偽物なら俺はなんだ!!この身体はなんだ!!」


タイター「唯の『創作物』……とでも言うべきか」


グーちゃん「っ!?」


タイター「SATANの犠牲者以外は、全て人形とジオラマだ。キミもその一つに過ぎない……」


グーちゃん「……」


タイター「けど、キミは特別だ」


グーちゃん「何が特別だっ!!じゃあ、一体俺は何の為に生きている!!何の為に戦っている!!ジオラマもどきの“偽りの世界”に騙されてるだけなんだろ!?もう、頑張る意味なんて無いじゃないか!!!」


タイター「僕は嘘をつきたくない。だから本当の事を言った……。けど物理的にそうであっても、キミの心は本物だ」


グーちゃん「うるさいっ!!心なんてある訳がないだろ!!全て飾りじゃないか!!」


タイター「違う。キミには人を愛し、仲間を大切に出来る立派な心がある。その心が現実に存在する彼女をかせたんだ」


グーちゃん「……っ」

 

(グーちゃんは跪いたまま涙を流す)


タイター「いいかよく聞け。モモカちゃんとキミの絆は本物だ。キミはいつだって彼女の支えだった。それはこの世界でも、僕の居た世界でも。彼女を想う気持ちと、その絆は絶対に偽物なんかじゃない……」


グーちゃん「……」


タイター「彼女が最も愛した存在……。そして彼女を守る為に生まれてきた存在でもある。ラル・クロード、それがキミなんだ」


グーちゃん「!!」


タイター「今キミに必要なことを教える。それは『愛』を持つ事だ。彼女を想う『愛』を持ち、彼女の為の行動を取る事だ。それがキミの使命であり、僕とハヅミくんからの命を懸けた『伝承』だ」


グーちゃん「愛……?伝承……?」


タイター「モモカちゃんと別れる事。それがキミの『愛』になる』


グーちゃん「……出来ないっ!そんな事!!なんでそんな事しなきゃ!!?」


タイター「いいか、ラル・クロード!!コレはキミにしか出来ない事なんだ!!世界で最も『夏目モモカ』に愛された男のキミが、彼女に愛を持って『この世界』を卒業させなきゃいけないんだよ!!それを出来るのは他の誰でも無い!!キミ自身だ!!!」


グーちゃん「モモカさんは、俺の大事な人だ!!家族だ!!そんな事出来る訳が無いし、言える訳が無いだろ!!!」


タイター「じゃあ、モモカちゃんが夢村に侵食されてもいいって言うのか!?キミは夢村に侵され続けるモモカちゃんを望むのか!?」


グーちゃん「夢村……?なんで夢村の話が出てくるんだよ!?」  


タイター「夢村は完全に死んでない。『因果指数』が貯まり次第、あの邪神の力を使って、この地に復活する。その末に『次のSATANのリセット』が行われれば、それはこの世の『終焉』と言っていい……。つまり、次の世界では確実に夢村の欲望に忠実な世界が出来上がるんだよ!!いや次の世界だけじゃ無い!!この先、何万、何億回も夢村の世界が出来上がるんだよ!!」


グーちゃん「そ、そんな事って……」


タイター「それを打開するのが、キミの説得なんだよ!!今この世界線でしか、もう叶わない!!

最後のチャンスなんだ!!キミが背負っているのはモモカちゃんの運命だけじゃない!!他の特異点に、ハヅミくんと僕の想いも乗っかっているんだ!!」


グーちゃん「でも……俺には……」


タイター「ハヅミくんと僕の計画。それはキミとモモカちゃんの絆を最高潮まで深める事だった。

そうする事で、キミもモモカちゃんも、本当の意味でお互いの事を『想う』行動が取れるからだ」


グーちゃん「何言ってんだよ!!彼女の事が好きだから離れたくないんだ!!俺は彼女の事を本気で好きだから、そんな決断できる訳がないんだよ!!何が絆を深めるだ!!人を馬鹿にするんじゃねーよッ!!!バガっ!!!」


(グーちゃんは泣きながらうずくまる)


タイター「それは、モモカちゃんも同じだ」


グーちゃん「……」


タイター「彼女が愛しいか?恋しいか?でも、その感情を踏み越えて、お前は大人にならなければいけない。いや、もう既にお前は分かっている筈だラル・クロード。僕が何を言わなくとも、キミはモモカちゃんが救われる行動を取る筈だ。例え自分の存在を否定する事になってもだ」


グーちゃん「うぐっ……」


タイター「モモカちゃんは、キミの事がずっと好きだった。キミは憧れであり、救いのヒーローであり、弱き者の味方で、病院の子供たちを笑顔にしてくれる……そんな存在なんだ」


グーちゃん「うぐっ、どういう……事だ?」


タイター「キミは、モモカちゃんに生み出された『キャラクター』の一人。怪盗クラウンの主人公『ラル・クロード』なんだよ」


グーちゃん「怪盗……クラウン?」


タイター「現実の世界で、モモカちゃんが描いていた創作物だ。その漫画の主人公であり、彼女が最も愛し、最も恋していた人物。その『ラル・クロード』を原点とした『因果思想』。それがキミなんだ」


グーちゃん「言っていることが、よく分からない」


タイター「つまり、キミはモモカちゃんによって作られた、彼女の憧れのヒーローなんだよ」


グーちゃん「俺が、モモカさんの……ヒーロー?」


タイター「そのヒーローのお前が、彼女を救わなくてどうするんだよ!?それこそ、彼女を幻滅させることになるぞ、ラル・クロード!!」


グーちゃん「でも、俺には『怪盗クラウン』の記憶はないんだ……。モモカさんには悪いが、それは別人だ。俺は、彼女が求めている『怪盗クラウン』にはなれない……」


タイター「もう一度言ってみろ!!その言葉が一番彼女を傷つけ、悲しませる言葉だぞ!!」


グーちゃん「俺が、モモカさんを悲しませたい訳ないだろ!!」


タイター「彼女は、キミと怪盗クラウンを同一に見ている訳じゃない!!今は『怪盗クラウン』ではなく、この世界で出会った『キミ』という存在を愛している!!」


グーちゃん「なら何故、俺と怪盗クラウンを比較する様な事を言うんだよ!!」


タイター「それは、モモカちゃんの記憶が戻ったからだ!!!」


グーちゃん「……」


タイター「……」


グーちゃん「今、なんて……」


タイター「モモカちゃんは、SATANの外の記憶を取り戻した。それだけでなく、今まで繰り返してきたリセットされる前の世界の記憶もだ。夢村の陰謀も。僕とハヅミくんが行ってきた事も。全て理解している筈だ」


グーちゃん「……」


タイター「キミは『怪盗クラウン』ではないかも知れない。でも、キミという存在はモモカちゃんが願い、愛して生まれた人間でもあるんだ。もしキミがモモカちゃんの事を本当に愛しているのであれば、彼女が願った『怪盗クラウン』と同じ『使命』を果たすべきなんじゃないのか?記憶が無くたっていい。別人でもいい。でも、キミ自身は、誰にも変わる事ができない存在なんだ。彼女にとっての救いのヒーローしか、彼女を救う事は出来ない……」


グーちゃん「……」


タイター「キミ自身が思う『怪盗クラウン』でいい。モモカちゃんを、救えるのはラル・クロード、キミだけだ」


グーちゃん「……」


タイター「話は以上だ……。キミの答えを聞かせてくれ」


グーちゃん「モモカさんは……ずっと愛しかった」


タイター「……」


グーちゃん「最初に会った時から、彼女の優しさや温かさに、何処か心地よさを感じていたんだ。でも、それは今思えば、彼女自身が『俺の母親』であったからなのかも知れない」


タイター「……」


グーちゃん「友達なんていなかった。でも、彼女が俺の最初の友達になってくれたんだ。嬉しかった……。魔王軍の任務なんて、どうでも良くなって、彼女にうつつを抜かしていたんだ。彼女と話したり、お笑い番組を見たり、漫画や本を貸し借りしたり、このまま楽しい日が続けばいいって思っていた」


タイター「……」


グーちゃん「ある日、モモカさんが将来の夢の話をしたんだ。彼女は魔界を研究する『学者』になるのが夢と言っていた。だから高校にも大学にも行きたいと言っていて、自宅での勉強時間も次第に増えていった。その夢は現実世界のモモカさんとは違うかも知れない。でも俺は、そんな頑張る彼女が好きで、気がつけば彼女に異性としての魅力を感じていた。


シラスやルミル、それに他の皆と仲良くしている彼女を見て、ホッとしたんだ。

彼女が憧れていた『青春』を少し取り戻せたのかなって思ったからだ。


そんな“楽しい毎日”を送れるようになった彼女と、これからも一緒に居たい。

いつかは結婚もして、彼女と共に人生を歩みたい。

俺は、そう思うようになった。


でも、彼女と付き合う為の『告白』は出来なかった。

毎日、悪魔がどうとか、魔界がどうとか、そんな緊迫した日々を送る中で、俺だけ『平和ボケ』した様な態度を晒す訳にはいかなかった……。


でも、きっとそれは彼女も一緒だったんだ。

言うに言えなかったんだ。

それは彼女と結ばれた『冥王の契約』のおかげで、彼女の想いを常に感じる事が出来たから分かるんだ……。


だからお互い、踏みとどまっていたんだ。

全部終わるまで。

戦いが終わるまで。


そして、今日がやってきた……。

俺はモモカさんと結ばれるどころか、世界の破壊の選択を迫られている。


本当はずっといたかった。

モモカさんと、一緒に……」


タイター「ラル・クロード……」


グーちゃん「でも……。でも俺は彼女を助けたい……。夢村なんかに渡したくない!!彼女は俺の知る無邪気で、可愛くて、愛くるしい、ありのままの姿でいさせたいんだ!!いつだって俺の名前を呼んでくれて、俺の事を想ってくれて、俺を愛してくれる彼女のままでいて欲しいんだ!!だから俺は、この世界を壊す事を決断するんだ!!

変だろ?オッサン、結局俺自身も夢村と同じなんだ。彼女を自分のモノにしたいだけなんだ……。元々愛されていたかどうかの違いなだけだっていうのに……」


タイター「それでも……いいじゃないか」


グーちゃん「……え?」


タイター「例え理由がそうであっても、彼女の為になる行動ということに変わりはない。キミと夢村では決定的に違う部分、何だか分かるか?」


グーちゃん「俺と夢村で違う部分……?」


タイター「『愛』だ。だからキミは愛を持って『怪盗クラウン』になるんだ。それが出来なかったら、キミと夢村は『同じ』と言っていい」


グーちゃん「……」



その時、悪魔の追手が遺跡に入り込んでくる。



グーちゃん「なんだ!?」


小悪魔たち「ウギャァ!!」


ラピス「チマチマと動きまわる小賢しい奴らだ。

ようやく見つけたぞ、畜生ども……」


グーちゃん「オッサン、逃げるぞ!!」


タイター「僕はいい!!タイムマシンはワールド移動を出来ないんだ。でもコイツらを引きつける事は出来る!!」


グーちゃん「そんなの危険だ!俺と来い!!」


ラピス「ジーニアス・タイター。お前には俺の計画に協力してもらう」


タイター「計画!?まさか、アレか!!」




(ラピスの計画: 『オーバーワールド計画』


SATANの中で生まれた住人たちが、SATANから脱出する計画を指します。

しかし、実際には『魂』を持たない『ラピス』や『グーちゃん』『ルミル』たちは、SATANからの脱出は不可能で、この計画自体が盗堂のついたウソになります。


計画の為にモモカが必要になる設定を、盗堂は勝手に作り上げました。

盗堂の本当の狙いは、ラピスと夢村の仲間割れを起こす事でした。

また、ラピスがモモカを見つけてくれたので、探す手間が省けました。


ラピスは、盗堂の作り上げたデマを今も信じ込んでいます。


盗堂のやりたい放題をタイターは止めない約束だった為、この無茶苦茶な計画も見守るしかなかったという経緯があります。)




グーちゃん「何してんだ!オッサン!」


タイター「天衣石を使え、ラル・クロード!!

ワールド1に飛べ!!」


グーちゃん「なっ、何言ってんだよ!!」


タイター「もう、僕から言う事は無い。さぁ、男になれ『ラル・クロード』!!」


グーちゃん「オッサン!!」


タイター「来いよ、ラピス!僕と『ゲーム』の時間だ!!!」


ラピス「フンっ……。死に損ないが」


ラピスは指から破壊光線を出す。


ズドン!!


グーちゃん「オッサーンッ!!!!」


煙が巻き上がる。



(タイターはタイムマシンで魔界の他の座標に飛ぶ)



ラピス「逃げられたか……」


グーちゃんは遺跡の外に出ようとする。


ラピス「ならば、先にキサマを仕留めよう」


ラピスは逃げようとするグーちゃんに破壊光線を放つ。


ズドン!!


グーちゃん「あぶっ!!死ぬ所だった!!」


小悪魔「ウギャァ!!」


グーちゃん目掛けて小悪魔たちが降り掛かってくる!!


グーちゃん「どけよ!!お前らと遊んでる暇はねーんだよ!!」


ボコっ!!

小悪魔たちをぶっ飛ばすグーちゃん。


小悪魔「ウギィイィ……」


ラピス「こちらもキサマと戯れている暇はない」


もう一度、破壊光線を放つラピス。


グーちゃんの背中目掛けて直進する。

直ぐ様振り向き、破壊光線に視点を定めるグーちゃん。


グーちゃん「いくぞっ!!!森羅殄滅しんらてんめつ!!!」


すると、破壊光線が破裂し、砕け散る。


ラピス「冥王眼か……」


遺跡を抜け出し、外に出るグーちゃん。


#1でルミルと戦った場所まで辿り着き、石碑の下に天衣石を置く。


すると封印が解かれ、『亜空間』の入り口が出てくる。


直ぐに天衣石を拾い上げ、亜空間に入り込む。


ラピス「逃すか」


再度、破壊光線を放つラピス。

グーちゃんは瞳力の反動で魔力が使用出来ず、生身でのけぞり、ギリギリ交します。


そして、もう一度『封印』の術式により亜空間の入り口は塞がります。


ラピス「ネズミめ……」

小悪魔たち「ウギィ……」


亜空間を落下するグーちゃん。


グーちゃん「オッサン……ありがとう。俺はモモカさんを……必ず救い出す!!」


亜空間から抜け、裏世界に再度やってくるグーちゃん。

辿り着いたのは、『東山の家』の前だった。


グーちゃん「あの日と同じか……」


ひとまず『自警団アジト』に向かうグーちゃん。

入り口を潜ると、いつもの顔ぶれが揃う。


モモカ「グーちゃん!!!」


シラス「えっ!!?」


ルミル「!?」


アジトに入り込むグーちゃん。


グーちゃん「悪い、ようやく戻って来れた……」


グーちゃんに抱きつくモモカ。


モモカ「よかった……無事で……」


グーちゃんは優しくモモカの頭を撫でます。


シラス「ドコほっつき歩いてたんだよ!?土産は買って来たんだろーな?」


フラヌ「ったくお前は……そういうとこだぞ!!」


シラス「お前もいつも、たかってるだろ!!スケベけん!!」


グーちゃんに歩み寄るルミル。


ルミル「大丈夫……?ケガは無い?」


グーちゃん「あぁ……」


オズ「何か……あったの?」


グーちゃん「……」


シラス「……」


シラスの雲行きが怪しくなる。

(シラスもモモカ同様、SATANの外の記憶を取り戻している為)


ルミル、オズ、フラヌの3人はまだ何も知らない。


シラスの違和感に感づくルミル。


グーちゃん「いや、魔界で『七賢人』の一人に襲われた……。名は『ラピス』とか言った。」


ルミル「七賢人!?」


オズ「!?」


フラヌ「ウソでしょ!?」


シラス「お前!!それとやり合ったのかよ!?」


グーちゃん「いや……。逃げるので精一杯だった」


モモカ「グーちゃん、他には誰か居なかった!?」


グーちゃん「……」


ルミル「どういう事、モモカちゃん?」


モモカ「グーちゃんが、誰かと長い話をしているような気がして……」


シラス「他に誰か居たのかよ!?グーたろう!」


グーちゃん「いや、居ない。俺一人狙われたんだ。さっモモカさん帰りましょう、今日は」


モモカ「……?」


シラス「!?」


オズ「私たちも、今日は解散しない?ラルの無事がわかった事だし。全員、身体を休めた方がいいわ」


フラヌ「それも、そうだニャン!!」


シラス「お前『犬』じゃなかったのかよ!!」


グーちゃん「いや、皆には少し魔界での話を聞いてもらう。もう少し残ってくれないか?」


フラヌ「んだよ!もうおうちでゴロゴロするつもりだったよボク!!」


シラス「いやお前、ここでもゴロゴロしてばっかだろーが!!」


ルミル「分かったわ……。でもモモカちゃんは、もう帰らせてあげて?」


グーちゃん「あぁ、そのつもりだ」


モモカ「えっ!?私も居るよ!全然平気だよ?」


グーちゃん「モモカさん、家まで送ります。一緒に帰りましょう」


モモカ「えっ!?なんでよ!!グーちゃん、私だけ仲間外れなの?」


グーちゃん「仲間外れなんかじゃないですよ?モモカさんには身体を大事にしてほしいんです」


ルミル「モモカちゃんには、明日、話の内容を伝えるわ。だから仲間外れなんかじゃない」


モモカ「ルミ姉ぇ……」


グーちゃん「……」


シラス「俺も送ろうか?」


グーちゃん「いい。ここに座ってろ……」


シラス「なんだよ、水臭いなぁ!?それともお前……」


グーちゃんがシラスを睨む。


シラス「……」


ルミル「?」


フラヌ「ばっかお前!!2人でラブラブに帰りたいに決まってるだろ。空気読めよぉ!!」


モモカ「ら、ラブラブ……!?そっ、そんなんじゃないって!!」


グーちゃん「行きましょう……モモカさん」



アジトから出て行くモモカとグーちゃん。



オズ「なんか、やっぱり様子が変じゃない?」


フラヌ「そーかぁ?いつもあんなんでしょ!?」


ルミル「ねぇ、何かあったの……シラス」


シラス「……」


ルミル「?」


シラス「なんでも、ねぇーよ……」


✳︎


アパートに到着するグーちゃんとモモカ。


部屋の玄関の前で立ち止まる。


グーちゃん「さぁ、入りましょ?」


モモカ「……」


グーちゃん「どうしたんですか?モモカさん」


モモカ「グーちゃん、私に隠し事してる……」


グーちゃん「してないですよ?何も」


モモカ「どうして嘘つくの……?」


モモカがグーちゃんの胸に抱きつく。


モモカ「あのおじさんは誰……?何処から来たの?」


グーちゃん「何言ってるんですか……?モモカさん」


モモカ「……どうしても、口をらないんだね?」


グーちゃん「……モモカさん、疲れてるんですよ」


モモカ「……」


グーちゃん「さぁ、お家に入りましょ?」


ガチャ。

ドアが閉まる。


ドアが閉まると、モモカがグーちゃんに抱きつきます。


グーちゃん「も、モモカさん!?」


モモカ「グーちゃんの事、私信じてるから……」


グーちゃん「……」


モモカ「おうちで待ってる……」


グーちゃんは無言でモモカの頭を優しくなでます。

そして再度アジトに向かいます。


✳︎


ガラッ。

アジトのドアを開けるグーちゃん。


シラス「……!?」


ルミル「おかえり!」


オズ「モモカは大丈夫だった?」


グーちゃん「ただいま。あぁ、大丈夫だった」


フラヌ「みんなでよぉ、お前の事心配してたんだぞ!?」


グーちゃん「……」


フラヌ「ん?」


グーちゃん「心配かけて悪かった……。今日は、みんなに話があるんだ!!」


シラス「!?」


ルミル「話って、さっきの『魔界』でのこと?」


グーちゃん「まぁ、そうなんだが、本題は少し違う」


ルミル「?」


オズ「本題……?」


グーちゃん「俺と一緒に……この世界を壊してくれ!!」




               ◇◆ 決断──。


  【SATAN #53・ジーニアス・タイター 終】



─────────────────────


【SATAN #54】


グーちゃんは4人に事情を説明しますが、困惑で何も言えない様子。


しかし、シラスはSATANを壊すことに反対します。


シラスはルミル達が生きてきた世界を破壊する訳にはいかないという意見を言いますが、本音はルミルと別れるのが辛いだけです。



シラス「第一、モモカにはどう説明する気だよ……。モモカにとってお前は、家族よりも、何よりも大切な存在なんだぞ。この世界を壊すってことは、お前とモモカが訣別するってことだぞ」


「モモカさんは、必ず俺が説得する……。シラス、俺の邪魔をするなら、お前を切る」



シラスは世界を破滅に導くグーちゃんの前に立ち塞がり、倒そうとします。


ルミルは、シラスを止めようとします。


しかし、シラスは『彗星眼』の瞳力でルミルに催眠術をかけます。


ルミル「シラ……ス……」


意識を失うルミル。


フラヌ「おっおい!!」


オズ「アンタ!!何してんのよ!!」


シラス「悪いな、ルミル。少し寝ててくれ」


フラヌ「シラスッ!!」


シラス「少しケンカするだけだ。殺しはしねーよ。

手足は無事で済むかわかんねーけどな?」


オズ「辞めなさいって!!」


グーちゃん「オズ、フラヌ、まずは、こいつと2人で話をさせて欲しい。ルミルを頼んだ」


シラス「……」



アジトの外に出るグーちゃんとシラス。



シラス「事情は……全て知っている。でも俺には、ルミル達を消す事は出来ない……」


グーちゃん「お前が、何を言おうが変わらない。

俺は『俺の計画』を遂行するまで……と言いたいところだが、そういう訳にもいかないのが今回の状況だ」


シラス「は……?」


グーちゃん「お前にも、モモカさんの説得に協力してもらう……」


シラス「ふざけるな……。俺とモモカはお前の意見と反対だっつってんだよ!!お前の手足削ぎ落としてでも、この世界は……」


グーちゃん「この世界は……」


シラス「俺が守る!!」

グーちゃん「俺が壊す!!」


グーちゃんとシラスの戦闘が始まります。


瞳力を駆使した激しい攻防が続きますが、最終章のグーちゃんは体調が悪く、シラスに追い込まれます。


グーちゃんはシラスにとどめを刺されそうになりますが、シラスはトドメをさしませんでした。


グーちゃん「シラス……自分の正義を貫け」


グーちゃんは全力で戦いましたが、シラスに敵わなかった為、負けを認めます。


しかしシラスはグーちゃんにトドメが刺せず、涙を流します。


シラス「なんでお前はぁ……そんな平然としてられんだよ……お前、これから死ぬんだぞ!!」


グーちゃん「俺は死にはしない……。モモカさんの中で生き続ける。それが……俺の答えだ」


シラス「!?」


グーちゃん「なぁシラス……『天国』って知ってるか?『魂』が解放された後に行き着く場所らしい……。俺はそこで……。そこで……」


シラスは地面に崩れ落ちます。


シラス「俺も、そこに行けるかな……彼女も連れて」


グーちゃん「大丈夫だ……。俺が……俺が約束する。そこでもう一度……みんなで……」


シラス「グスッ、グスッ……」


しばらく、シラスは泣いてますが、落ち着いた後、グーちゃんに話します。


シラス「待たせてる奴が居るんだろ?」


グーちゃん「あぁ……。今も魔界を飛び回っているかもしれない……」


シラス「なら、モモカを早く説得しなきゃな……」


グーちゃん「シラス……お前……」


シラス「そういやさ、俺たち最初に会った時からずっと、こんなんだったよな?」


グーちゃん「……そう、かもな?」


シラス「仲良くなんてさ、出来ないと思ってた。

お前といい、盗堂といい。胡散臭い連中ばっかだった。でも、今思えば……普通にしてれば、知り合う事の無い奴らだったとも思う」


グーちゃん「……そうか」


シラス「お前は、モモカの事をどう思っているんだ?」


グーちゃん「モモカさんは、大事だからこそ、この世界から解放させてあげたいんだ。それに、モモカさんが背負っているのは、自分の運命だけじゃない。お前や盗堂、魔界で待たせてるオッサンの『魂』も背負っている。俺は彼女にその『業』を背負わせたく無い……。だから、愛を持ってこの世界を壊すんだ」


シラス「……愛」


グーちゃん「お前にもあるんだろ、その愛が。それに、ルミル自身も、きっと俺と同じ考えだった筈だ。アジトでお前を止めたのは、そういう事じゃないのか?」


シラス「ルミル……」


グーちゃん「でも、俺とお前にとってこの時間は無駄じゃなかった。俺と話した事によって、考えに整理がついただろうし、決意も固まった。それが、俺の計画に必要な事だからだ」


シラス「さっきから言ってるそれ、どういう意味だよ……」


グーちゃん「みんなの意見が一致しないと、モモカさんを説得するのは、100%不可能なんだ。だから俺がお前を倒しても、全く意味がないんだ。だからお前に協力して貰うと言った……」


シラス「モモカは……そんなに手強いのか?」


グーちゃん「……」


グーちゃんは黙って頷く。


シラス「それほど、お前の事が好きなんじゃないのかな」


グーちゃん「けど、シラス。好きであるだけなら所詮、自分の欲に過ぎない。それは相手のことを思う感情とは全く異なる概念だ」


シラス「はっ、はぁ……」


グーちゃん「そこに『思いやり』や『愛』がなければ、ただ俺に依存しているだけの自分勝手な存在になる。俺はモモカさんを、そんな惨めな存在にしたくない……。モモカさんには、シラスや盗堂、魔界のオッサンの事情を理解し、そしてみんなの愛を受け取れる人になって欲しい」


シラス「……」


寝っ転がったグーちゃんが立ち上がり、シラスに手を差し伸べます。


グーちゃん「ルミル、フラヌ、オズには俺から、話す」


シラス「ルミルには、今日俺が話しておく。お前は……モモカの事に専念しろ」


陰で2人の戦いを見ていたルミルとフラヌとオズ。ルミルはシラスと別れるのが辛くて泣いてます。しかし、シラスの覚悟を聞いていた為、彼女は納得してます。)



次にグーちゃんはフラヌとオズを呼び出し説得します。

2人は、グーちゃんとシラスのやりとりを見ていたと打ち明けます。

仲間の事を想う2人はSATANを破壊することに協力すると言います。


次にグーちゃんはルミルに挨拶に行きます。


ルミルは最初から納得している様子でした。


「ルミル……」


「何も言わなくていいわ……分かってるから」


「そうか……。お前とは色々あったが、最後にこうやって話が出来る仲になれたことを誇りに思ってる」


「……」


「ありがとう。それを言いに来たんだ」


するとルミルが涙を堪えきれず、グーちゃんに抱きつきます。


「お願い……モモカちゃんを……救ってあげて。あなたにしか出来ないわ……」


「……あぁ、必ず」


そのあと、明日のモモカを呼び出す打ち合わせをして解散します。


✳︎


【次の日】


自警団アジトに足を運ぶモモカとグーちゃん。


しかし、仲に入ると、全員揃って真剣な表情をしています。


モモカ「わっ、みんな、もう来てたんだね!えっと……」


みんなが真剣な表情をしていることに気づくモモカ。


モモカ「なんか……あった?」


グーちゃん「モモカさん、大切なお話があるんです……」




               ◇◆始まる……。

          

           【SATAN #54・愛 終】


─────────────────────


【SATAN #55】



モモカ「大切な話……?」


グーちゃんはゆっくり頷きます。


モモカ「えっと……なんだろーなぁ、大切な話って」


モモカは場を和ませようと、少し作ったような喋り方をします。


グーちゃん「モモカさん、単刀直入に言います。SATANを破壊してください……」


モモカ「!?」


モモカは心臓が止まったかのような、表情をします。


そのあと、全員の顔を見ます。


みんな、同じ意見で話し合いが終わっている事を、モモカは察します。


「えっと……なんで……かな。みんなはそれでいいの?」


モモカが全員の顔を見ると、みんなは静かにモモカの方を見つめます。

昨日、打ち合わせでモモカと話をするのは自分だけにして欲しいとグーちゃんは全員にお願いしました。


グーちゃん「モモカさん、知っての通り、この世界はSATANが生み出した、本来存在しない世界です」


モモカ「……」


グーちゃん「そして、存在してはならないんです」


モモカ「どっ、どうして!!」


グーちゃん「モモカさんの魂が、既にここを彷徨っているからです」


モモカ「!?」


グーちゃん「今、現実の世界でモモカさんは危篤状態ですが、かろうじて肉体はまだ生命を宿しています。ですが、もうそこに、モモカさんの魂はありません。SATANの機能により、モモカさんの魂は、この世界に移動したんです」


モモカ「なら……私にとっては、もうここが現実だよ?」


グーちゃん「いえ、偽りですよ?モモカさん」


モモカ「偽り!?私の身体は本物だよ!?

グーちゃんも、シラッちも、ルミ姉ぇも、ふらぬんも、オズちゃんも本物だよ!!元の世界の私からしたら、全部偽物かもしれないけど、私は私!!この世界で育った!!この世界が私にとって本物!!」


グーちゃん「モモカさん、よく聞いてください。モモカさんは記憶を取り戻しました。もう言い訳は出来ないんです。この世界が好きなのは分かります。でも魂は、もとあるべき所に戻らなければなりません……」


モモカ「なんで……。だってSATANを壊したら、みんな消えちゃうんだよ?みんな死んじゃうんだよ?」


グーちゃん「モモカさん、このままだと、浮遊霊になりますよ。いえ、ある意味、もうなりかけていますが……」


モモカ「そんなの、ならない!!私の魂はここにある!!」


グーちゃん「モモカさん、夢村は必ず復活します。そしてSATANがリセットされたら、次こそは夢村の完全支配する世界が完成します。そうなってからでは遅いんです。二度とSATANを破壊することは叶わなくなります。夢村と一緒に、隔離されたこの箱庭を永遠に彷徨うことになるんですよ?」


モモカ「!?」


グーちゃん「いいですか、モモカさん。本当に“不幸中の幸”なんです。この世界では、モモカさんの事を思う人達が居た。ルミルも、シラスも、フラヌも、オズも、ラーヴァナも、冥王のおっさん(夢おじ)も、玄田(謎おじ)も、みんなモモカさんの味方です。この世界線でなければ、SATANを壊すことは不可能なんです。次はないんです!!」


モモカ「……」


グーちゃん「それに、“現実のモモカさんの肉体”が生命を失えば、二度と元あるべき場所に魂が戻れなくなります。タイムリミットは始まってるんです……」


モモカ「グーちゃん……。私は、存在しちゃいけないの?」


グーちゃん「“存在しちゃいけない”んじゃないんです……。元あるべき場所に帰らなければいけないと言っているんです」


モモカ「それでも、私には……。私には、みんなを殺すことは出来ない……」


グーちゃん「殺す……ですか。では敢えて、率直に言いましょう。ここに居る人間は、モモカさんとシラス以外、全員SATANが生み出した“幻影”です。」


モモカ「!?」


グーちゃん「それに、モモカさんが決断をしなければ、シラスも助からない。いや、シラスだけじゃない……。他にもモモカさんの決断に運命をゆだねられている人が何人も居る」


モモカ「……」


グーちゃん「モモカさん、殺すという表現を使った“あなた”に返します。この世界を存続させること、それこそ、あなたが現実世界のシラスを殺す事と同義です」


モモカ「ちがうっ、私はただみんなと……」


グーちゃん「この話を聞いても、考えが改まらないのであば、夏目モモカ、お前の思考は殺人鬼同様だ……」


モモカ「っ……」


モモカは首を振り、涙を浮かべながらアジトの外に走って出ていきます。


シラス・オズ「「モモカっ!!」」


フラヌ「モモッチ!!」


ルミル「……」


モモカを追いかけるシラスとグーちゃん。


しかし、2人がアジトの外に出るとモモカの姿はありません。


そしてフラヌもやって来ます。


フラヌ「きっ消えた!?」


シラス「瞳力か!?」


グーちゃん「あぁ、冥王眼を使ったんだ……」


グーちゃんはモモカの走って行ったであろう道を、じっと見つめます。


シラス「おいおい、グーたろう、いくらなんでも、ありゃ言い過ぎだろ……」


グーちゃん「いや、言い過じゃない……。全て事実だ。それにモモカさんには、あのくらい強く言わなければ、伝わらない」


シラス「でっ、でもよぉ……」


フラヌ「これじゃモモッチの場所がわかんないよ……」


シラス「お前の目ん玉じゃモモカの座標はわかんねーのかよ!?」


グーちゃん「この目はモモカさんの借り物なんだ。悪いがそんなに万能じゃない」


シラス「詰んでんじゃねーかよ!!」


グーちゃん「心当たりがある……。彼女が向かいそうな場所だ」


シラス「そっそうなのかよ!?」


フラヌ「なら、早く追いかけようよ!!」


グーちゃん「すまない……。俺1人で行かせてくれないか」


シラス「なっ、なんでだよ!!また逃げられるかもしんねーんだぞ!!」


グーちゃん「いや……モモカさんはもう心のなかで決断している。ただそれを言葉にするのが恐いんだ」


シラス「そっ……そうだったのかよ」


グーちゃん「さっきの言葉が響いてるのであれば、彼女はもう逃げたりしない。今はきっと心の準備が必要なんだ……。2人とも、オズとルミルを任せた」


そう言ってグーちゃんはモモカを追うために駆け出します。


グーちゃんの後ろ姿を見守る2人。


シラス「あいつ、モモカの事ホントに好きなんだな」


フラヌ「う、うん。なんであの2人が──」


必死な表情で走り続けるグーちゃん。


フラヌ「こんな運命を辿らないといけないんだろうね……」


✳︎


#5でやって来た『思い出の丘』に来るグーちゃん。


すると、ベンチに座って泣いているモモカを見つけます。


グーちゃんが近づくと、モモカは気付きます。


モモカ「グーちゃん……」


グーちゃん「モモカさん……」


モモカは立ち上がり、グーちゃんと向かい合います。


モモカ「わかってる……」


グーちゃん「え……」


モモカ「本当は分かってるんだ……。SATANを壊さなきゃいけない事」


グーちゃん「……」


モモカ「グーちゃんの言葉を聞いて、私がみんなを苦しめてるって事に気が付いた……。それに私自身も……」


グーちゃん「キミは、誰も苦しめてなんかいない。ただ、この愛しい幻想を愛しただけだ……」


モモカ「グーちゃん……」


グーちゃん「それでも……キミはキミの使命を果たして欲しい……。みんなと、キミ自身を救ってあげる為に……」


モモカはグーちゃんに近づき、抱きしめます。


モモカ「わかったよ。グーちゃん……」


モモカは泣きながら決意表明をします。


グーちゃんもただ、モモカを抱きしめます。


モモカ「私、SATANを壊す」


グーちゃんはモモカの頭を撫でながら、もう一度優しく抱きしめます。


グーちゃん「モモカさん……。約束があるんです。

俺はモモカさんが愛情を持って作ってくれた存在。

だから……絶対にキミから居なくなったりしない。

例え、この世界が無くなろうと、俺はキミの中で生き続ける。そう、決めたんです」


モモカ「ホント……?」


グーちゃん「もちろんです」


モモカ「私も、この世界が無くなっても、グーちゃんと、ずっとずっと一緒に居るから……」


グーちゃん「はい……ずっと一緒にいましょう」


モモカ「グーちゃん……あのね。渡したいものがあるんだけど……その……いいかな?」


グーちゃんは抱きしめたモモカを放してあげます。


するとモモカは、持ち歩いてたポシェットの中から『桃の花のペンダント』を取り出します。


モモカ「このペンダント、お母さんがくれた物なんだ。いつか大事な人に渡しなさいって。私の名前と同じお花なの……。受け取ってくれるかな……」


この時系列で、グーちゃんは桃の花言葉を知っている為、この行為がモモカの告白である事を理解します。


グーちゃん「もちろんです……モモカさん」


モモカはグーちゃんに屈んでもらい、ペンダントを首にかけようとしますが、止まります。


しかしグーちゃんはモモカがなぜ止まったのかを察しているので、モモカの顔を伺って待ちます。


モモカ「えっと……その……」


グーちゃんは優しい眼差しでモモカを見つめます。


モモカ「わっ、私とお付き合いして下さい!!」


モモカはペンダントをグーちゃんの首にかけます。


グーちゃんは膝をついたままモモカの手を取ります。


グーちゃん「はい……もちろんです。モモカさん」


モモカ「グーちゃん……」


モモカは顔を赤らめたまま、涙を流します。


グーちゃんは立ち上がります。


グーちゃん「モモカさん、俺からも受け取って欲しいモノがあります」


グーちゃんはポケットからケースを取り出し、中からネックレスを取り出します。

ネックレスのエンドパーツは『桃の花』の形をしてます。

コレは、グーちゃんが特注で作ってもらったネックレスになります。


そのネックレスをモモカの首にかけてあげます。


グーちゃん「俺と結婚して下さい、モモカさん」


ネックレスを付け終わると一歩引いて間合いを取ります。


すると、真顔のまま涙を流すモモカの顔が映ります。  


モモカ「はい」


モモカは瞳を閉じて、泣きながら返答します。


グーちゃんは再度モモカを抱きしめます。

モモカは幸せと悔しさが合わさった感情で、グーちゃんに抱きつきながら堪えるように泣きます。


グーちゃんは、モモカの気持ちを分かっているので、ただ抱きしめてあげます。


モモカ「ありがとう……グーちゃん。私、幸せ」


グーちゃん「俺もです……モモカさん。」


グーちゃん「モモカさん、謝っておきたい事があるんです。モモカさんも知ってる通り、俺は『怪盗クラウン』の記憶は無い……。だから、そこだけは、ごめんなさい……」


モモカ「何言ってるの、グーちゃん?私が好きになったのは『怪盗クラウン』じゃないよ?私は、グーちゃんが好きなんだよ。だから、謝らないで」


グーちゃん「モモカさん……ありがとう」


モモカ「そりゃ、『怪盗クラウン』は私の中で大事な存在だよ……。でもグーちゃんと怪盗クラウンは別の人。私が好きになったのは……紛れもなく『グーちゃん』だから。グーちゃんと過ごした日々は、私の考えたお話よりも、最高にロマンチックな冒険だった。だから、『怪盗クラウン』以上の宝物なの……」


グーちゃん「モモカさん……」


モモカはグーちゃんに顔を寄せます。


モモカ「してもいい?」


グーちゃんは頷きます。


グーちゃんとモモカの唇が触れ合います。

モモカは瞳を閉ざして、少し深く唇を押しつけます。

グーちゃんは、モモカの唇を優しく受け止めます。


時間が流れるのを忘れる程に、2人の唇は重り奪い合います。


しばらくして2人は唇を離します。


モモカは照れながらも真顔で語りかけます。


モモカ「すごかった……」


グーちゃん「これ以上は、その……ここだと恥ずかしいんで」


モモカ「うん……。物語のお姫様って、こんな凄いことしてたんだなって……。小説の読み過ぎかな……」


グーちゃん「さて……どうでしょうか。でも、モモカさんって、そういう少し大人なシーンも好きだったんですね……」


モモカ「……あっ、いや、今私が言ってるのは童話とかのお話の事であって……。別にエッチなシーンの事じゃないよ!?」


グーちゃん「あっ、うん。わっ、分かってますよ!?」


モモカ「グーちゃんはたまに怪しいからなぁ……」


グーちゃん「なっ、何がですか!?」


モモカ「なんでもないよ」


グーちゃん「……」


モモカ「でもさっきのは、少し大人な感じだった……のかな?上手く言えないんだけど……こう可愛いっていうよりも、なんかすごいーって感じ……」


グーちゃん「そう……かもしれませんね?」


モモカ「どんな感じなんだろう……ってずっと本を読むたびに思ってはいたからさ。でも、私が思うよりもすごかった……」


グーちゃん「俺も……です」


モモカ「グーちゃん、私みんなに自分から報告するよ。みんなに感謝の言葉も伝えたいし……」


グーちゃん「分かりました。一緒に行きましょう、モモカさん」


モモカ「うん。それからさグーちゃん、お家に帰ったら、もう一度……その、したい……」


グーちゃん「……はっ、はい」


グーちゃんとモモカは再度アジトに向かいます。



✳︎


【魔界】


ラピス「どうやら、その機械の燃料も、尽きたようだな……。もう逃げ回れんぞ、ジーニアス・タイター」


タイター「もう、どうにもならんのか!!」


小悪魔とラピス、部下のレイン(七賢人の1人)に追い詰められるタイターの姿。


レイン「私の能力さえあれば、あなたを探し出すことなんて簡単だったわ。さぁ、大人しく捕まりなさい?」


タイター「ハヅミくん!このあと一体どうするつもりだったんだよ!?」


ラピス「何を言っているんだ……?」


《手は打ってある》


↑盗堂の最後に残したメールを思い出すタイター。


ラピス「ん?」


瞬時に身の周りが赤く染まる。

ラピスとレイン、小悪魔を炎の柱が攻撃する。


すると、タイターの後ろから赤髪の魔族の少女が歩いてくる。


真紅に染まる魔眼が、幻想的に輝きを放っている。

 

(ラーヴァナ・ルミルの所属していた『王華』の1人。ラーヴァナ・オズ・ルミルの3人構成。)


ラーヴァナ「アナタがタイターさんね……。盗堂くんから話は聞いてるわ」


タイター「キミは……」


ラーヴァナ「私はラーヴァナ。夏目モモカの第二の『因果思想』よ」



         ◇◆紅き少女、再び舞う──。



       【SATAN #55・夏目モモカ 終】

─────────────────────


ここまでご覧頂きありがとうございました。


【この後の大まかな流れ】


・ラピス、レインvsラーヴァナ・玄田・タイター


・ヴィネ(七賢人)vsオズ・フラヌ・シラス


・レイン(七賢人)vsモモカ


・ラピスvsルミル


・ラピスvsシラス


・ウカ・ウガイーテ(暴走モード)vsグーちゃん


・夢村(邪神モード)vsグーちゃん(クラウンモード)


・コアの破壊


・エピローグ


(続編へ──)


というような感じになります。



─────────────────────


【返信の続き】


・#13、#14も楽しんで頂きありがとうございます!また『カタリ場』も見て頂きありがとうございます!

 あそこは、小説の小ネタや制作秘話を載せる場所になってます!

 更新時はSATANの最新話に必ずURLを載せてます。

 是非また遊びに来て下さい。


 

・クラウス関連の事件は、今回のプロットで登場した新キャラ『ラピス』が関与しています。

どんな風にラピスが関与しているか、是非注目していただけたらと思います!


・最後に登場した『ラーヴァナ』ですが、#17くらいには登場する予定で、『新キャラ組』の中では一番、登場が早いです!

 是非、注目して頂けたら嬉しいです。


・今回、SATANの攻略本の一部を読んで頂き、ありがとうございました!!

 現在連載中のところは、やはりシラス、ルミルに焦点が当たってますが、ここから熱くなっていきますことをお約束します!

 

 本当にいつもありがとうございます。


 是非またお待ちしております、


 この作品を愛してくれた、私の大切な読者様、『うみさん』へ──。



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