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 軽く言葉を交わしていると、伝達したのかすぐにお母上やお兄ちゃん達も部屋にやってきた。ずっと思ってたけど美形家族だね。系統は様々だけどみんなキラキラしてる。そりゃあセナちゃんも狙われて誘拐されるよねぇ……


 聞くと、年齢はお兄ちゃんたちは二十歳と十五歳でちょうど五歳ずつ離れているらしい。俺は実際の歳はともかく、精神年齢は前世の十七歳だからちょうど二人の間だね。


「───改めまして、セナを助けてくださったこと、感謝申し上げます」

「私からも。ありがとうございました」

「ありがとうございます」


 お母上とお兄ちゃん二人にそれぞれお礼を言われた。俺はほんとに大したことはしてないんだけどねぇ。


「気にしないで。気まぐれに誘拐されてみて、気まぐれに助けただけだからそんな感謝される立場じゃないよー」

「……気まぐれに」

「誘拐されてみた……?」


 お兄ちゃん二人が顔を見合わせて戸惑ってるね。まあ普通は自分から誘拐されてみたりしないってことくらいは俺も分かってるよー。


 だってそんなことしても良いことないもんね。お腹は空くだろうし本は読めないし、落ち着いて寝ることも出来ないでしょ?


「お、お兄様。ナギサ様はこういう方ですからあまり深く考えない方がよろしいかと……」

「……そうだね」


 こういう方って、セナちゃんは何が言いたいんだろうね? 褒められてないのは分かるけど。


「あ、ご当主様? 嫌なら全然断ってくれて良いんだけどお願いがある。俺、普段は暇してるから時々ここに遊びにきても良いかな? と言っても、たぶん近いうちに多忙になると思うから急に来なくなったりするだろうけど」


 良いこと思いついたんだよね。手土産って言って『精霊王の涙』を持ってくる。公爵家なら持っていても不思議ではないでしょ?暇で遊びに来たいのは本当のことだしー。


 まあ迷惑なのは重々承知だよ。得体の知れない人物が定期的に遊びに来るなんてことになればずっと警戒してないといけないでしょ。だけどそれに見合った謝礼はするつもり。


「もちろん、こちらからお願いしたいくらいです。セナも懐いているようですし、息子たちとも気が合うと思いますから是非」

「ありがとう。じゃあ今日はこれでお暇するねー」


 ひらひらと手を振って水の宮に帰ってきた。家族水入らずで過ごしたいだろうしね、邪魔者は早いとこ撤退するに限るよ。

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