第10話:黙れ!!・・・泣いちゃうぞ!!

《やほ〜、畑中 早芹はたなか ぱせりです・・・現在幽霊やってま〜す》


「テンションたか!!」

「来たわ・・・パセリさんって・・・そう言う字書くのか?・・・しかも幽霊

なのにこんなことできるんだ・・・まじでか?」


「霊感通信だって・・・」


「このアイコンの顔、パセリさんか?・・・画像小さいけど超べっぴんさんじゃん」


《私、未来さんのこと好きでしたけど、セシルちゃんのために諦めますから、

セシルちゃんを大事にしてあげてください》


(おお〜パセリさん、気持ちも優しい人じゃん)


《でも他に行くとこないから、ここにいさせてくださいね》


《いいすよ・・・好きなだけいてくれて・・・三人で仲良くやればいいんだから》


まあ・・出てったところで落ち着く先がなかったらホームレスだもんな。

幽霊のホームレスなんて聞いたことないけど・・・。


「セシル・・パセリさんと話せるよ」


「よかったね・・・でも、パセリさんに夢中になると私、妬いちゃうからね」


「近所迷惑になるくらい泣くんだろ?・・・分かってるよ」


ってことで幽霊の畑中 早芹はたなか ぱせりさんとはスマホを通して話せるようになった。

そして改めて僕の部屋の居候になった。

まあ、いるってだけで、なんにもやってもらえそうにないけど・・・。


でもパセリさんは、この先意外なところで俺とセシルの運命を握ることになるんだ。


それはさて置き、もし万がいちセシルとエッチすることになったらパセリさんに

見られながらするってことになるよな・・・。

どこかでパセリさんが見てるって・・・それってどうなの?・・・。

あまりいい気しねえな・・・けどまあ僕は見えないからいいか・・・。

セシルが気にしなきゃそれでいいか・・・。


「ねえ、チューして?・・・」


「え?・・・いきなり?」


「だからチュー」

「恋人同士のコミュニケーションでしょ・・・最初にするんだよ」

「チューだよ、チュー」


「どうなんだろう・・・このまま、まじでセシルを受け入れちゃっていいのか?」


「うん、受け入れて、受け入れて」


「まあいいか・・・恋愛にこうだって決まりなんかないからな」

「好きになったら、それがすべてだし・・・」


で、セシルと甘くて濃厚な初キス。

思った通り、セシルはクチビルもちゃんと暖かかった。

で、俺の体の中にビタミンCとミネラルが入っていったんだろうな。


「セシル、セシルの体やクチビルって温かいけど、なんで?」


「未来ちゃんのことを思うと興奮してジェネレーターがオーバーヒート

起こしてるんだよ」


「ええ?それ大丈夫か?」


「エッチしたら焼き付いちゃうかも〜♪」


「そんな嬉しそうに言うな!!」


「でも今はホカホカしてとっても心地いい・・・」


だそうだけど・・・まあ・・・いいけど・・・でもキスが終わったのに

セシルがハグしたまま離れない。


「あのな・・・いつまでくっついているつもりだよ」


「もうちょっと・・・」

「ずっとくっついてたいし・・・未来ちゃんと離れたくないもん」


「俺たち磁石じゃないんだからな・・・いつかは離れなくちゃいけない

だろ?・・・頼むから離れてくれないかな?」


「黙れ!!・・・泣いちゃうぞ!!・・・」

「私を泣かすと、死んでパセリさんの仲間になっちゃうからね」


「ガイノイドに魂なんかないだろ? 死ぬと幽霊になるのか?」


「あ〜そか・・・死んでみないと分かんないね」


結局、セシルは最初のお手伝いさん兼なし崩しで俺の恋人になった。

言うことを聞いてやらないと、何するか分かんないセクサロイド。

ジャンクショップのばあちゃんがセシルをタダで手放した訳だ。


俺の思惑に反してセシルは、してって頼まなくてもちゃんと料理も掃除も洗濯も

自分の役目を甲斐甲斐しく果たしてくれて楽しそうにやってる。

このぶんなら、お手伝いさんとしても合格かな。


ちなみにセシルの脳みそには、すげえ数の料理のレシピが入ってるんだって。

まあ、依存体質で寂しがり屋で構ってちゃんでメンヘラちっくって

ところを除けば、全般的に俺より知識が豊富ってことかな。

そのわりにちょっとアホっぽいって言うか幼稚なところあるけどな。


つづく。



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