第57話 浴室造り

 翌朝、わたくしが目覚めるとララが出発するところだった。

 フィーネはいつの間にか仕事に向かったらしく、姿はない。

 ララはキッチンを楽しみにしていると言い残して、キラキラした何かを残しながら仕事に向かった。


「さて……それでは早速作りますか」

「ああ、手伝えることがあったら言うといい」

「僕もやるよー」

「ありがとうございますわ。それでは、まずはお風呂から作って行こうと思います」

「ええ! キッチンからじゃないの!?」


 驚くマーレにわたくしは説明する。


「マーレ。2人が帰ってくるまでにどちらも作る予定です。なので問題はなくってよ!」

「やったぜ! 流石僕たちのクレアだ!」

「ふふ、憧れてもいいんですのよ」

「いや、それはないけど」


 はしごを外されてこけそうになりながらも、わたくしはフィーネと話し合った場所に決める。


 その場所は元々決めていて、家に入って右側の壁の真ん中辺りに作ろうと思う。

 ちなみにその奥にキッチンのあれやこれやを作る予定だ。


「ということで、まずは外の間取りを決めますわ」

「脱衣場も外に作るの?」

「いえ、それはこちら側に作り、扉を開けてすぐに浴室という風にしたいですわ」

「なるほど、了解」


 わたくしたちは外に出ると、建物の右側に周り、扉の位置を決めて浴室の大きさを決める。


「なぁ、これ広くないか?」

「ざっと20畳ほどありますわ!」

「広いだろ!? 一体何人で入る気だ!?」

「皆ですわ!」

「皆って……それでも広すぎるだろ」

「ティエラやマーレ、それにシエロも入れたらそこまでではないと思いますわ」

「それは……」

「さ、ということで、早速作っていきますわよ」


 ということで、場所を決めたらあとはまた地面を叩いて固めていく。

 それからササッと建物を建てる、この時にちゃんと家の扉を作っておく。


「そんなササッと建てるものじゃないと思うんだけど……」

「前に作ったことがあるので、その通りに作るだけですわー」


 ということで、木製の浴室を作っていく。

 ただ、このままだと痛んでしまうので、床や内壁は海底から採掘した大理石で作り上げていく。


 模様は白い中に黒い線が入ったもの。

 これを浴槽以外の床一面と、床から高さ1mくらいの所までを作る。

 それより上は木製で作るのだけれど、アクアピュアウッドではなく普通の木材で作ることにした。


 理由としては、いざ浴槽を作ろうとしたら、結構アクアピュアウッドを使うみたいで、天井までまわせそうになかった。

 それに、床一面と壁一面全部が真っ白というのはちょっと見にくいだろうと思ったからだ。


「それで、浴槽はいいけど、水の通り道はどうするの?」


 マーレの質問にわたくしはちゃんと答える。


「まずは、北の家側、今いるここからララの部屋の壁際に浴槽を設置します」

「それはどうして?」

「その方がキッチンの水場と近くて作りやすいからですわ。火も使いますし、ちょうどいいかと思いますわ」

「なるほど」

「それと、シャワーもせっかくなので作りたいのです」

「シャワー?」

「ええ、ホースからお湯を出して、それで身体を洗うのですわ」

「そんなのがあるんだ」

「はい。最初はそれで身体を洗い、それからお湯に入るのです」

「へえ~それは、楽しみだね」

「身体を洗う必要等俺たちにはないだろう」


 シャワーの説明中にティエラがそう言ってきたので、わたくしはにこやかに笑う。


「それは実際に使ってからにいたしましょう。さ、作っていきますわよ」


 浴室を上から正方形で見て北側を上にした場合、左上に正方形の浴槽を置き、その右側の壁にシャワーを並べる。

 数としては3つを想定しているけれど、広さ的にはもっと置けるようにしておく。

 

 下の方は桶を置く場所だったり、通り道としておく。


「それではまずは【倉庫】からアクアピュアウッドを取り出しまして、【加工】を使って行きますわ」


 まずは木の皮をスキルで取り、それを同じサイズの板状に切り分けていく。

 そして、それをまずは浴槽の底に敷き詰める。

 この時、絶対に水漏れがしないように丁寧に、1㎜も漏れがないようにしなければならない。

 敷き詰め終わったら外枠を積み、こちらも絶対に水漏れがないようにはめ込み式で組み上げていく。


「ということで、これで浴槽が完成ですわ!」

「え? 防水処理とかいらないの?」

「アクアピュアウッド自体がその辺り問題ない素材ですので必要ないんですわ」

「なるほど、それは便利でいいね」

「はい。それでは、次はシャワーを作って行きますわ。こっちは掘ってきた金属を……【加工】!」


 わたくしは【加工】スキルを使ってシャワーを通すようの鉄パイプを作る。

 

「え? 金属の加工も出来るの?」

「ええ、家に関する品物でしたらなんでも作れるっぽいですわ」

「普通にぶっ壊れてるスキルじゃないかな……」

「そうですの? いえ、確かにそうかもしれませんわね。さて、それでは次の加工は……」


 次は鉄パイプに穴を開けていき、必要な分を開ける。

 そこに更に新しい鉱石を出して、お湯が出るか出ないかの簡単なのを作った。


「それがシャワー?」

「ええ、この取っ手をひねるとお湯が出るのですわ」

「へー。それから?」

「それからこの穴に……シーサーペントの血管を繋げますわ」

「シーサーペントの血管!?」


 マーレがビックリしていて、その後ろではティエラも頭に? を10個以上浮かべている。


「そうですわ。シーサーペントは水流を出して攻撃する性質上、その血管から水を抜き取り、圧力に対してかなりの耐性があるのですわ。ですので、このホースを作る都合上それなりにいい感じでの素材になります」


 シーサーペントの血管は乳白色で結構長い。

 それを適度な長さに切り、それをシャワーの鉄パイプに繋げ、反対側にはアクアピュアウッドを使ったシャワーヘッドだ。


 それを3個作り、あとは水……というか、お湯を出す様の穴を開ける。


 北側の壁にシャワー用の穴を1つ、浴槽の方にもお湯を入れる穴を一つ作る。

 そして、浴槽の下と、シャワーの真ん中辺りに排水用の穴を作った。


 あとはフィーネに言っていた仕掛けを少し作るために浴槽に穴を開けて細工をする。


「これで浴室は終わりですわ」

「お湯を入れるのはいいの?」

「キッチンの時にやるので、その時に確認をしますわ」

「なるほど、じゃあ次は……」

「ええ、キッチンを作って行きますわ!」


 ということで、次はいざキッチン作りですわ!

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