白虎の神様
「え、私……死んだの?」
「死んでねぇよ、心臓はまだ動いてるだろ」
体を起こしながら私が尋ねると、呆れたようにそう返す紫苑という少年。でも、だったらますます意味がわからない。今、私がここでこうして眠っていた理由が。
「だ、だって、あやかしって……。じゃあ、ここはどこ……?裁きの森に追放された罪人は、野犬たちに食い殺されるはずでしょう?私、意識がなくなる前に角がある鬼みたいな生きものとか、獣の姿を見たような気がするんだけど……」
二人に詰め寄ると、二人もとどこか困惑した表情を浮かべた。そして、天音と呼ばれた少年がおもむろに口を開いた。
「ここは、四神がひとり、西の端にある
「四神、ですって……」
帝都でも聞いたことがある。この帝都には、大昔から四方を守る四柱の神様が鎮座し、今もなおこの帝都を守り続けていると。
まさか、その「四神」のひとりが住まう屋敷だというの……?
「そして、僕らは白哉様にお仕えする眷属です」
混乱する私をよそに天音という少年は腰に手を当てながら、どこか自慢げに、誇らしげにそう語った。そういえば、意識を失う前に白い獣を見た記憶がある。まさか、あれが白哉様……?
「ここが死後の世界ではなくて、『白哉様』という神様の家だということはわかったわ。だけど、どうして私がここへ連れてこられたの?」
その問いかけには、またしても二人とも口を閉ざしてしまった。特に、天音という少年は、眉を下げて困ったような顔をしている。聞いてはいけないことだったのだろうか。と、そのとき、がらりと障子が左右に開いた。
「あら、お嬢さん、起きたのね」
そこに現れたのは、濃藍に花柄模様の着物を着た大人っぽい女性。頭に黄色い耳、そして背には黄色のもふもふとした尻尾をもつ、綺麗なお姉さんがそこにいた。
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