第10話 あるゴシップ雑誌に寄せられた手紙
突然のお手紙すいません。先日刊行された貴社の雑誌で『相模神奈ちゃん失踪事件』の記事を読み、いてもたってもいられず私の知っていることをお伝えしようと思い至りお手紙を書かせていただきました。
私はかつて、神奈ちゃんが住んでいた家の近所に住んでいた者です。私が庭で土いじりをしていると、通りがかった神奈ちゃんが挨拶をしてくれて、よく花の育て方や学校のコトについてお話をしていました。とても明るく人当たりの良い子で、私を含めた近所の人みんなに好かれていたと思います。
ただ、神奈ちゃん両親、孝さんと美代子さんの評判は余り良くありませんでした。と言うのも二人は娘の神奈ちゃんに虐待をしていたんです。神奈ちゃんは両親を庇ってか何も話してくれませんでしたが、神奈ちゃんの手や足に黒い痣ができていることがあって夜中に叫び声が聞こえることもありました。私以外の近所の人が警察に通報して児童相談所の職員さんが何度か神奈ちゃんの家を訪ねているのを見た事がありますが、結局神奈ちゃんが保護されることは無かったんです。
今回の事件を知ったとき、確信はありませんが神奈ちゃんの失踪にはあの両親が絡んでいると思いました。恐らくですが神奈ちゃんは度重なる虐待に耐えかねて家を飛び出したのではないでしょうか。もし私が神奈ちゃんのことを無理矢理にでも保護してあげればこんなことにはならなかったんじゃないかと自責の念に駆られ、せめてもの手掛かりになればとお手紙を書かせていただきました。
この手紙が神奈ちゃん捜索の一助になれば幸いです。
(当時の記者が残したメモ)
※差出人不明。ただ児相の職員が相模家を何度か訪れていたことは確認済み。両親関与説の疑い強まる。痣・叫び声については証言取れず。
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