第99話

優愛が憂鬱な気分なのはそれだけじゃない。


さっきからポケットに入ってるスマホがずっと振動している。


見なくても誰かなんて分かる。


「優愛?スマホ鳴ってない?」


気づいたりっちゃんはそう声をかけてくれる。


『良いのいいの無視無視。どうせあの人だから。』


そう言うとりっちゃんは納得したような顔になった。


「あー。お父さんね。もしかして前に言ってた食事しようってやつ?」


『そうそう。アイツも一緒にって言うから。絶対無理。』


誰があんな奴に会うもんですか。



自分を捨てた母親なんかと食事したいなんて、誰が思うの?

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