第33巻 10年後の君へ

長編小説

10年後の君へ

第33巻

わたしは生きているだろうか?もしかしたらもう死んでいるかもしれないね、そしたらこれを読んでくれた人に言おうかな。わたしはこの世が美しいと思った。それは醜く、また悲しい生き物、人間が存在しているからだ、だけど、わたしは自分のことが美しいとは思わない、この世に合った人間ではなかった。醜くなく、悲しい存在ではなかった。わたしは醜くなろうとすることをやめた。清く生きようとした。そおすると世界が醜く見えなくなった、悲しさを感じなくなった。わたしは見てはいけない世界を今見ている。それは言葉で表現することはできない。だけど確かにそれはある。わたしはそれを見てしまった。だからやるべきことをしなければならない。わたしは成すべきことがある。だけどそれはわたし1人では耐えることが出来ない。それは人をおかしくさせる。とても1人では背負いきれない。わたしはだから今頃死んでいるのかもしれない。わたしはよく夢を見た。世界が平和で包まれ、悲しい存在など生まれない世界を。しかしわたしは知ってしまった、それは夢でしか起こり得ないと、わたしは知った、これが現実であると、わたしは色々な未来の物語を夢見た。それは現実ではなかった。わたしは現実では生きられない。夢の中でしか生きられない。私は現実ではいつも何かに対して悲しみに暮れている。それは時に人であり、時にものであり、時に事象であり、時に成すことであり、時に在り方であり、時にすべきことであった。わたしは毎日選択を迫られる。それはわたしの心を無視してやってくる。それはわたしの夢を潰してやってくる。もしこれを見た10年後の君へ、この世に絶望しているかね、この世に落胆しているかね、しにそうになったかね、そしたらこの手紙を見るといい。その選択をしたのは君だ、決して後悔してはならない。前を向かなければならない。わたしはもうその時には死んでいるだろうから

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