第21巻 満たされない読者
長編小説
満たされない読者
第21巻
私は色々な物を読んで、また見てきた、小説、漫画、アニメ、映画。この世にありとあらゆる物を読み、また見てきたが私の心は何故か満たされない。私は色々な人生のストーリーを知り、また色々は人の思想を知り、また色々な人生の思いを知った。だが私は満たされなかった。私の人生は平凡そのものであった。その時代に合った人生を生きている。ただ趣味が読者というだけである。私はこの平凡な人生が嫌だからハラハラドキドキのストーリーを望んだのだろうか?色々伏線が張り巡らされたストーリーを望んだのだろうか?主人公がピュアなストーリーを望んだのだろうか?主人公が悪役のストーリーを望んだのだろうか?いやそうだとも、私はそんなストーリーを望んだ。しかし何かが足りない。そこには何かがなかった。人が作る物語には何かが足りなかった。私は強欲だ、全てがある作品を望んだ、完璧なる作品を望んだ。全ての人生を一つに味わえる作品を望んだ。だがこの世にはそんな作品はなかった。私は嫌になった、こんな人生は。私は絶望に浸りたかった。幸せに浸りたかった。自分に浸りたかった。だが私は我に帰る。もう私は何にも浸れない。こんな人生嫌だ。私は一つの小説に出会った。その小説の名前は路上の女。私は続きが気になった。しかしその小説の続きはなかった。その小説は私を惹きつけた、何故かはわからない。だがその小説を読めばこの気持ちがわかるかもしれないと思った。この人生を変えられるかもしれないと思った。その短編小説を書いた人は誰か分からなかった。誰がいつどこでどのような気持ちで書いたのか、わからなかった。作者はもう死んでいるのかもしれない。だが私は続編を待ち望んだ、1年、2年、5年と、ずっと続編を待ち続けた。だが続編は出なかった。私は思った。人生で初めて思った。私が書こうと。私は続きを書いた。だが誰にも私の正体を知らせることはなかった。男なのか、女なのか。誰にも知られることはあってはならなかった。その短編小説は続編が出た。それを待ち望んでいる人が他にもいた。私は喜んだ。そして私の心は満たされた。
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