心を焦がし愛し愛されて
@k-shirakawa
第1話 正反対の人生を経験してきた二人の境遇
瑛太二十九歳は地元の福祉系大学を出て保育士と
大学時代の同級生から電話があり、「そんな田舎に燻っていないで、俺と一緒に都会で仕事しないか?」と誘われた。瑛太は元々引っ込み思案で自分に自信が持てないタイプの男だった為、外に出るのが怖くて実家の近くで仕事したかった。
しかし瑛太も来年で三十歳になる事から、今までの自分ではダメだと思っていて、友人の誘いに乗り都会に出て仕事しようと思い退職し引っ越し、彼が勤務していた学童に就職をした。
仕事が慣れた頃に彼に誘われて瑛太は軽い気持ちで何度か合コンに参加した。そこで瑛太は、一人の年上の女性と出会った。年齢は三十五歳。どうみても夜の世界で働いている雰囲気の女性だった。瑛太は年上がタイプで、夜のオカズは熟女が出演する無料のAVを見ていた。現実の社会では自分をグイグイと引っ張ってくれるような女性が憧れだった。杏奈とも意気投合しカップルが成立した。
その後、杏奈と店を変えて飲みに行き、その後もたびたびデートを重ねながら、二人は急接近していった。最初は瑛太の方が杏奈に強い思いを抱いていて、徐々にだが杏奈も学童の児童指導員として真摯に子供たちに向き合い真面目な性格の瑛太に引かれていった。二人は相思相愛になっていった。
しかし、杏奈には秘密があった。それは、かつて杏奈は十代の頃、少年院に入っていたことがあり傷害事件を起こしていた。更には二十歳を超えてからも地元のヤクザの組長の二号で囲われていた時に組長が杏奈の友達と不倫をした時に組長の本妻が指を詰めろと刃物を持って脅した際に仲間を助ける為に組長の妻を逆に殴り、傷害事件を起こし執行猶予が付き刑務所は逃れたが前科一犯になってしまっていた。杏奈はそんな修羅場を潜り抜いてきた人生で瑛太とは住む世界が全く違っていた。
それでも愛が深まり二人は結婚を意識し始めるようになっていき、杏奈はそこで自分の歩んできた生い立ちを話した。杏奈の他界した父親も前科者だった事で兄と弟たちも窃盗や暴力事件などで少年院や刑務所に入っていた事などを赤裸々に話した。
瑛太には経験もした事のない、テレビや映画でしか見た事のない世界を歩いてきた杏奈だった。ただ瑛太は杏奈と一緒に居る事で安らぎを覚え、また仕事も心から頑張り成長しようと努力する力を与えてくれる事を感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます