第2話 夜が散る





 



 砂埃を浴びる群衆の痛む生活音

 繰り返しの旋律

 終わらない運命の煽り

 おびただしい時間の配分

 生きること 悲しみ



 列をなして胃袋を温め

 与えられた仕事を休めず

 便座に埋もれる窮屈な自我よ

 這いつくばる精神の解放を叫べ



 媚びたその目を睨んでやれ

 したたかな盗人たけだけしい

 あざとさの生きる智慧身につけたなら

 帰りの足取りは軽やかだろう




 ここに指し示す



 歪んだ思考は腐敗した燃焼物

 擦り切れた本物の文字盤

 それらは似ているようで別格物

 真理の者たちの歌を聴け

 この場所に横に縦に下に上に斜めに隠された

 賢者の言の葉を見つけ出せ




 風のなかの灯火よ 

 それは消えることがない

 なぜなら風そのものでありながら

 灯火としての使命に生きるからだ



 風は揺れる

 風は泣く

 風は踊る

 風は晴れる



 さあ、行くがいい

 これまでの過去は

 本心を取り戻すための旅にすぎない

 喝采に埋もれ 道ゆく者に

 持ち物は必要ない



 夜の輝きだけがそこにはある




 夜が舞う



 夜が輝く

 



 










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