ダンジョン配信で美少女と対決?!~俺だけが持つ特殊スキルで、視聴者の敵となり、より多くの『炎上パワー』を集めて強くなる!~

カフェオレ

第1話 美少女との配信対決、罰ゲームの行方

「俺の負けだ」


遠くで片手剣を持ち、勝ち誇った表情を浮かべる美少女を見つめながら、拓海はため息をついた。

眼の前には20体に満たないゴブリンの死体が転がっているが、彼女はわずか1分で37体を倒した。俺の数倍だ。


360度カメラで上空から撮影するドローンは、遅延なく俺たちの配信対決を視聴者たちにリアルタイムで届けていた。


彩羽の配信コメント:

• マッキー:【15000円】今週の生活費です。お納めください

• サボテン博士:【5000円】最初は500円のつもりだったけど、彩羽ちゃんの剣術があまりにもカッコよくて、10倍にしました!

• 天ぷらロボ:【3200円】俺、まだ中学生だけど、これが全財産。応援します

• シオン:【1000円】タクミっというクソ配信者から来ました。もう彩羽さんのファンになりました!


拓海の配信コメント:

• ドクターペッパー:「北海道一の冒険者だって?負けてんじゃん」

拓海(リアルタイム返信):俺は夕張市一だからな

• ほたる:「無双の剣?無双とはw その称号、さっさとやめときな」

拓海(リアルタイム返信):その称号は俺のもんだ、文句あんのか?かかってこいよ

• 眠り猫:「登録解除…登録解除…登録解除…」

拓海(リアルタイム返信):ちょ、待てよ。まだ美人冒険者からの罰ゲームを受けてないんだぞ?見たくねえのか?

• とんこつキング:「まじでクズだな…まぁ、ちょっと見てみたい自分もいるが」

拓海(リアルタイム返信):じゃあ、1000円の投げ銭で高画質モードにしてやるよ


• 【ユウタ】投げ銭1000円

• 【焼きそばカレー】投げ銭1000円

• 【とんこつキング】投げ銭1000円


一連のやりとりをこなしながら、拓海の視界には次々と数字が浮かび上がる。

木村から炎上パワーを獲得+120

松本から炎上パワーを獲得+210

井上から炎上パワーを獲得+104

山口から炎上パワーを獲得+155


そして、彼の目の前に現れたのは、彼にしか見えない仮想パネル。表示は簡素で、一番上には「B級交換ページ」と書かれ、カラフルな宝箱がずらりと並んでいる。それぞれの宝箱を開けるのに必要な炎上値も示されていた。

• 青の宝箱:1000

• 紫の宝箱:10000

• 金の宝箱:100000

• 暗の宝箱:1000000


パネルの右下には、現在の獲得炎上値「95,262」が表示され、交換率は「27%」に達していた。


「さあ、約束を果たす時が来たな、三流冒険者」

剣を収めた彩羽が、一瞬で拓海の前に現れた。少女特有の甘い香りが漂い、ポニーテールが高速移動で揺れる。戦闘の熱気で頬が少し赤くなったその顔立ちは、可憐そのものだ。口元に微笑を浮かべ、拓海を見下ろすように見つめる。


「もちろん約束は守るさ、対決に負けたんだから罰を受けないとね」

拓海は口元に不敵な笑みを浮かべた。


「たった200回の負荷スクワットだしな」

「それじゃ、始めよっかな」


少女は遠くのゴブリンの死体を指さし、反論を許さない口調で言った。

「あそこの一番大きいゴブリンを重りにしてもらうわ」


拓海は彼女の命令口調に答えず、「95,262」という数値に悩んでいた。あと3000ちょっとで金の宝箱を交換できるのに、視聴者の炎上パワーの増加はすでに停滞している。

多分、視聴者が自分の煽りに慣れてきたのだろう。

少なくとも自分の配信では、これ以上の炎上値を集めるのは難しい。

となると……


相手の配信から稼ぐしかない。何しろ彼女の同接数は俺の10倍だ。


「重りは君が決めるものじゃない」

そう考えた拓海はきっぱりと言った。

彩羽の眉がわずかに寄せられ、目の前のこの三流ダンジョンで出会った厄介な配信者を見つめ、手を剣に置きながら問い詰める。

「契約を破るつもり?」

「いや、俺はただ、もっと手応えのいい負荷を探してるだけ」

拓海は平然と返す。その言葉が終わると同時に、彼はかつて青の宝箱から手に入れたアイテムを発動させた。


<凍結カード>

5分間、相手の動きを封じる一回限りのアイテム。対象の実力が使用者を大きく上回る場合は無効。


言葉が終わると同時に、拓海は二歩前に進み、少女が反応する間もなく彼女を抱き上げた。そして驚くべき速さでスクワットを始めた。


「1、2、3、4…8…15……」


その瞬間、空気が凍りついたかのようだった。

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