知っていて

時刻は夜10時過ぎ。

バイトに出て今日辞める旨を店長に伝えてきた。

今月末であのお店のバイトは終わりだ。

あとでその事をリカと信さんに言わないと。

そう思いながら玄関の鍵を開け扉を開いた。

「ただいま…」

初めて一人で帰ってくるリカの家。

玄関は勿論、リビングも電気が付いていない。

まだ、帰ってきてないんだ。

シン─と静まり返った拾い家。

いつもならリカがいるから落ち着くこの空間も一人だとただ寂しいだけ。

まだ、帰らないのかな。

やっぱり、オーナーとか、会社の手伝いとか忙しいのかな。

リカも大変なんだなあ…。

でも、早く帰って来てほしい。

早く、ここに帰って来てほしい。

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