第113話

「泣き虫だな、お前」


そう言ったリカの言葉は冷たいようで温かくて…

涙を拭ってくれた指先は驚くほど優しかった。






「リカ、わたしモノじゃないよ」



「うん」



「何をされても、何かを言われてもずっと耐えてきたけど…」



「うん」



リカは真っ直ぐにわたしを見つめながら返事をしてくれてる。



吸い込まれそうな、真っ黒な瞳。


その瞳になら、リカになら本音が言える。






「わたしだって傷つくよ」




「傷ついてる」

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