第11話 初恋のハナシ
皆さんの初恋はいつですか?
誰しもある、甘酸っぱい想い出。
ハツコイ。
たいていは実らない、ハツコイ。
お相撲さんは、ドスコイ。
さて、ひと滑りしたところで......。
私の初恋は、中学一年生のときでした。
しかも、完全にひと目惚れです。
二重まぶたのパッチリした瞳。
線は薄く、優しい雰囲気の、可憐に明るい美少女。
ひと目見て「めちゃくちゃ可愛い!」と思いました。
他に理由などありません。
その瞬間から好きになったと思います。
彼女こそ、この世に降臨せし麗しき天使。
私の心は心臓ごと鷲掴みされ奪われたのです。
一番最初の席替えで彼女と隣同士の席になれた時は、オカシクなりそうでした。
「こ、これは運命か!!?」
心の中で血を吐くほど絶叫し、狂喜乱舞しました。
ところがどっこい。
隣同士になれたかといって、そんな気軽に話しかける事などとてもじゃないができません。
アイ・アム・ウブ寄りのウブ。
アイ・アム・奥手ボーイ。
授業中にそれとなく彼女の横顔を見ては「可愛いなぁ」と思って胸をキュンとさせるのが関の山です。
そんなある日のこと。
私が授業中に、自分のノートに友達と落書きをし合って遊んでいた時です。
それを見ていた彼女が「貸して」と言って微笑みかけてきたのです。
ノートを渡すと、彼女はそこへ、実に女の子らしいタッチの絵を落書きしてくれて、私に返しました。
私はそのノートを見て、ワナワナと震えます。
「おおお俺のノートに、俺の所有物に、かかか彼女の手で書かれたものがある!!!!」
もう~私は目から血を流してしまうぐらい嬉しくなりました。
しかし表向きは「何も気にしていないよ。むしろ、なんだよ?」ぐらいの態度を取り繕いました。
無論、家に帰ってから部屋でひとり、ノートに刻まれた彼女の落書きを見ては
「はぁぁぁぁ......」
と、胸を熱くして想いを募らせたのは言うまでもありません。
そうして......。
彼女への想いがどんどんどんどん強くなるにつれて、私は今まで以上に彼女とマトモに話せなくなってしまいました。
気持ちとは相反する態度しか取れないのです。
それだけじゃありません。
やがて彼女に話しかけてくる男子はみんな彼女の事が好きなんじゃないかとまで思うようになりました。
情けない私は、卑屈に彼女と距離を置いて嫉妬心をぐつぐつ燃やし、必死にそれを抑えようとひたすらもがき苦しみました。
そうこうしているうちに......。
結局。
何もできないまま、二年生のクラス替えで、私と彼女とは別々のクラスになってしまい、それっきりになってしまいました。
これが私のハツコイです。
やはり初恋というのは特別なもののようです。
今でも、この初恋の彼女と似たような雰囲気を持った人がいると、つい目が止まってしまいます。
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