その頃彩乃は①

石原から後ろの席へと自己紹介の順番が回っていき、一番後ろまで行ったら次は隣の列へというのを六回ほど繰り返し、ようやく一番最後までやってきた。


「んじゃあ、最後は一之瀬よろしく」


そう先生に言われると一之瀬君はどこか嫌そうな顔をしながらも立ち上がったので、私は体ごと向きを彼の方へと変えると


「えーと、名前は一之瀬陽太です。得意な科目は国語でソフトテニス部に所属しています。趣味は読書です。今年一年間よろしくお願いします」


(いつも何かの本を読んでるとは思ってたけど、やっぱり読書が好きだったんだ。でも何で一番得意な科目が国語なのに理系? いやまあ人それぞれだし、他にもそういう人はいるだろうけど)


なんてことを考えているうちに一之瀬君は自分の席へと着席し、そのまま読書を始めた。

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