第8話 コミュ障と新しい朝

 翌日、昨夜は何とか食事をとり、しっかりと睡眠をし、今朝になり朝食を摂りに受付の隣にある食堂にて宿屋の店主の厚意でいくつか服を見繕ってもらっているのだが。



「……」



 すべてが女性ものであり、夜恵が複雑な顔をして佇んでいた。



「ほれ、昨日頼まれた服だ。お前さんに似合いそうで動きやすさを重視しておいたぞ」



「……ありがとうございます。でも、その」



「ん?」



「オス、僕オス」



「……」



 ひげの立派な店主がじっと夜恵を見つめると、すぐに弾けたように豪快に笑い、夜恵の背中をペシペシ叩いた。



「まっ! 似たようなもんだろ!」



 ガッハッハッハと声を上げながら店主は奥に引っ込んでしまい、夜恵はその場で小さく握り拳を作って軽く体を震わせていた。



「……まあいいか」



 よくはない。

 夜恵は急いで朝食を摂り、一度部屋に戻って着替えをして、胸を張って冒険者ギルドに改めていこうと決める。



 しかし――。



「んぃ、なに?」



 見事なヒラヒラである。

 店主の趣味なのか、どう見ても動きやすそうな服ではなく、ちょっと豪華な町娘の衣装といったフリルのワンピース、こんな格好でギルドに行けば目立ってしまうだろう。



「それは困る――」



「おおそうだ嬢ちゃん、こっちもな」



 戻ってきた店主が夜恵の頭に麦わら帽子をかぶせた。



「これでばっちり」



 女の子味が上がっただけである。

 もう何も言うまい。

 準備を終えた夜恵は今度こそと意気揚々とギルドの向かって脚を進ませるのだった。

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