私たちは、若くて清い

茜琉ぴーたん

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「僕は…小笠原おがさわらのお母さんみたいな人、好きだな」


 好みのタイプは誰?みたいな他愛のない放課後の雑談の中で突如現れたのは母の名。

 娘である私は当然「はァ?」と聞き返して声の主を睨む。

「バリバリ働いててカッコいい。昔から知ってるけど、気さくで気が利いて、いいお母さんって感じ」

「そりゃそうだけど」

 母は19で出産しているので私…小笠原ももが15歳の現在でも34歳、充分に若い母親なのであった。


「あー、1回見たことあるわ、美人だしオッパイでけーよな、桃のかーちゃん」

「ぎゃはは、お前エロいこと言うなよ」

「やめなよあんたたち、桃に失礼じゃない」

「俺、高校入ったらオッパイでかい彼女作るわー!」

「俺も!」

 多感で性に興味のあるお年頃、しかし自分の母をそんな見方をされては気持ち悪くて仕方ない。


「……ふー……やめてよ…」

私は話を切り上げて鞄を肩に掛ける。

「じゃァね、」

「小笠原、僕も帰る」

「…うん」

 しれっとついて来たコイツは同級生の新島にいじまはじめ。家が隣でいわゆる幼馴染み、保育園以前からの気心知れた仲だ。

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