第30話
「私?”今は“瑠璃よ。」
佐原瑠璃の名前を呟いて、本当の自分を覆い隠し、あの日の闇夜に葬った。
死んだの。
ちっぽけで、どこまでも幼く愚かだった、あの頃の自分は。
「それで、良いじゃない?」
全てを消し去り、抹消したい己の過去。
忘れたって、良いでしょう?
………………例え、それがフリだったとしても。
幸せなら。
「私に、全てを捧げなさい。」
悠然と微笑み、支配者として、手に入れた番犬達を従えた。
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