1-6:「〝建設科〟」

 建設科――

 陸上自衛隊内に設けられる職種。諸外国における軍隊の、鉄道工兵兵科に値するものだ。 


 1960年初頭に、施設科内に鉄道運用を担う第101建設隊として、最初の部隊が発足。

 それから部隊規模拡大に伴い、第101建設隊を母体に〝第1建設群〟が編制。これに合わせて施設科職種より独立し、〝建設科〟が陸上自衛隊内に新たに設けられた。

 その後さらに、第1建設群を母体に〝第1建設団〟が発足。続いて第2建設団が発足し、全国に渡り防衛関係の鉄道運用を担う事となった。

 第1建設団が東日本に、第2建設団が西日本に存在する自衛隊管理鉄道路線を担当。その特性上方面隊には所属せず、最上級単位を〝陸上自衛隊建設隊〟として防衛大臣直轄の部隊とされている。



 部隊編制を下記に記載する――


・陸上自衛隊建設隊

 ・建設隊司令部及び付隊

 ・第1建設団(東日本)

  ・団本部及び本部付き隊

  ・第1建設群

  ・第2建設群

  ・第6建設群

  ・第7建設群

 ・第2建設団(西日本)

  ・団本部及び本部付き隊

  ・第3建設群

  ・第4建設群

  ・第5建設群



 建設隊は原則としてその基本任務は鉄道輸送。そして管理路線の保線維持、保安等が任務として存在する。

 ――のだが。その一方一端で、少し特異な役割が存在した。

 それは、戦闘鉄道車両の運用。

 俗にいう〝装甲列車〟等の運用、すなわち鉄道上での戦闘任務だ。


 建設隊が黎明期から軌道に乗り始めた頃。その軌道保安、移送警備、他職種他隊への協力等の観点から、戦闘作戦機能を有する鉄道車両の製造。及びそれを運用する車両編成、部隊の構想された。

 それが自衛隊の装甲列車保有の原点である。

 そして構想は試験的に実案と発足。

 何種かの装甲戦闘鉄道車両が製造され、そしてそれを用いる編制が組織された。

 しかし。その後急速に進んだモータリゼーションと道路整備が、その存在の必要性を一気に低下させてしまった。

 わざわざ鈍重で軌道に制約のある装甲戦闘鉄道車両の存在意義は低く。どころか一時期には建設科の存在意義すら危ぶまれた事もあり、装甲戦闘車輛、そして装甲列車の保有運用に関わる一連のそれは完全に停止。

 少数編成された装甲戦闘車輛を用いる部隊は廃止、解体方向に向き。

 装甲戦闘車輛は、その世界の自衛隊の行き過ぎたまでのもったいない精神から廃棄こそ間逃れたものの。良くてモスボール、悪ければ放置され車輛基地で埃を被る事となった。


 そんな経緯から、一度は終焉を迎えた自衛隊装甲列車の系譜は。


 しかしここまでに語った異世界騒動の、そして鉄道騒動の経緯により。日の目を見たか、あるいは白羽の矢が立てられたか。

 ともかく予期せず復活。



 陸上自衛隊、装甲列車編制は再編及び新編され。異世界の地を巡り行く事となったのだ――

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