第15話
小学生くらいの頃は、ほかに娯楽もないから、放課後にはひとりで野球をしていた。「磯野~!野球やろうぜ~!」と、誘いに来る友人すらいなくて、一人で バットとボールで遊んでいました。
ボールは、軟式の野球ボールの時もあり、ゴルフボールやゴムのテニスボールも使った。 硬式のテニスボールもよく弾むのでときどき使いました。
野球の硬球も、持っていたが、硬いし飛ばないので、持ち腐れ?でした。
昭和には、こういう孤独な子どもの遊んでいる情景が、なんだかペーソスがあって、時代環境にふさわしいというか、空気に合う感じもある。
父とかも巨人ファンで、軟式野球のチームを作って、近隣のチームと対戦したり、糖尿病になるまでは活発やったとか? 覚えている父は、なんだか疲れていて、冴えないだけでしたが…。
野球というスポーツには、だいたい観戦しているものの「真似して自分もプレーしたい!」というようなロマンというか参加意欲を刺激するところがある。
エースになって、剛速球でブンブン三振の山を築いたらどんなにかっこええやろか? というような夢を、例外なく誰でも描いてしまう。…
モチロン、子供でも、ただに「無心」で遊んでいるわけでなくて、一見はそう見えても、実はいろいろとファンタジーを描いていたりするのだ。 そういうことはわりと普遍妥当な現象らしいが、自分だけの空想上の野球チームを作っていたりした。
「ファイターズ」という、架空のチームを想定して、架空のプレーヤーを捏造する。実在の選手とかをモデルにしていたりした。
それで、「エア野球試合」を、ストーリー進行させつつひとりで黙々と挙行していたのです。 ボールを投げたり、バットで打ったりして、脳内だけで遊んでいた。
大リーグへのあこがれ、というのはボクにもあり、「ピートローズ」という選手には非常に魅かれて、モデルの選手を創ったりもしていました。
巨人はずっと「純血主義」を標榜していて、外国人がいなかったので、初めて「デーブ・ジョンソン」という選手が来日したときは目新しくて、人気を集めました。
”二塁手として大リーグ史上最多の43本塁打”というのがウリで、長嶋巨人一年目にサードを守った。が、その年の巨人はどうしようもなく弱くて、結局ジョンソンも散々な成績… 二年目からはセカンドを守って、多少よくなったが、まあ平凡でした。
その頃にかっこよかった外人は、やっぱり二塁を守っていた、大洋のシピンというヒゲの選手で、髪もアフロっぽいので”ライオン丸”とか呼ばれた。
とにかくよく打つし、まあ、”冴え”があった。 ここぞ、というところで”
巨人で最高の外人は、クロマティという黒人かな? 「さらばサムライ野球」という伝記まで出版された、まあ伝説の外人である。
ホームランを打つと、「コンセントレーション!」と頭を人差し指でつつく真似をしたり、「お茶目でかわいらしい」とか母もほめていたっけ。
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