第23話

「ヒイロ…、動かないでよ。」



あくまで、小声で注意する。




聞こえてないのか、手の動きは止まらない。




まだ、倉庫の壁越しで女子たちの話す声が聞こえる。



はやくどっか行って。



そんな思いと裏腹に、彼女たちはなかなか移動する様子がない。




ふとヒイロの指先が、私の顔にあたった。



注意しようとしたときには、もうヒイロの指が私の唇をなぞっていた。



優しく、割れ物にでも触れるように。




暗闇である倉庫では、視覚が閉ざされていた。


その分、聴覚や触覚が敏感になっていた。

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