第10話

ハヤトが肩で息をしながら俺から抜けていく。

たくさん愛し合ったから、それが寂しくて物足りなくて、俺は、


「あっ…はやと…はやとぉ…」


スーパーダーリンハヤトを呼ぶ。

俺の声に反応してハヤトがぎゅうって抱き締めてくれた。

俺もハヤトも熱いし、汗でべちゃべちゃだった。

だけど離れたくない。

だから俺もハヤトの背中に手を回す。

あー…筋肉の層があつい…。

そーいや、イケメン五割増ししてるし。

男として頂点ハヤトが俺に夢中。

俺を貪って俺に精を放つ。

肉体的快楽の後の精神的快楽で、頭の中馬鹿になりそうだ。


えへへぇと笑いながらハヤトに擦り寄る。

ハヤトも俺を優しく撫でまわしてくれた。


賢者タイムってもんが男にはあるそうだが、俺とハヤトにはあんまりない。

いつまでもイチャイチャしてたい。

だから寝落ちしないで互いをナデナデ。

俺はハヤトとピロートークしたくなって、声をかけることにした。


「あのさ、ハヤト」


「…なんだ」


声もイケメン。

でも、よく聞いたらすこし渋みが足されているような?

ハヤトのイケメン天井知らずだな。


「おれ…わかれよって…いってない?」


「正確には『パーティーを抜ける手続きをしてきた。これでお別れだ。冒険には危険がつきものだ。明日から気を付けてな』と言われた。…どこに、俺と別れようという文面があるんだ?」


首筋や耳、側頭部にキスしながら、ハヤトがやっぱりイラつきながら俺が言った台詞を言い直してくれた。

俺的に良い感じ言ったつもりの言葉。

他者を通して聞くと恋人として別れようなんて、全然含まれてなかった。


「あ…じゃあハヤトは…」


「別れに同意したつもりは無いが?翌朝姿が無く、探そうにも緊急任務が入った俺の焦燥感は理解してもらえるか?」


「…きんにゅーにんむで、ランクあがったんだ…」


「中々パーティーから抜けられぬ、自由の利かない身分になってく俺の気持ちは理解してもらえるか?」


「どーして…あの森に?」


「……ずっと…何処に居たんだ…エイジっ」


「…ごめん…ハヤト…俺…ただ…足手纏いになりたくなくて」


「俺が足手纏いと言ったか?」


「…そうだなー的な、話聞いちゃって」


「…お前にたちには、そうだな、と言った。その後俺には必要不可欠な存在だ、と言っている」


前後のよく聞こえなかった部分で、俺を擁護ラブしてくれてたなんてっ。


「うぅ…はやとっ好きっハヤトっ!」


俺は必死でハヤトに抱き付いた。

ハヤトの辛かった気持ちが理解出来て、本当に申し訳なくって。

どうしたら癒してあげられるのか分からなくて。

ぎゅうって、ぎゅうってする。

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