第14話 クインクルスのオルステッド

 クインクルスのオルステッド。


 それはこのゲームをプレイして中盤に差し掛かった者ならば知らぬ者はいないほどに有名なNPCだ。


 なぜなら、それほどまでにそのネームバリューが強く頭おかしいほどに優遇されているからである。


 まず、最初に仲間になるタイミングは勇者メルのレベルが20〜40程度の中盤もしくは最終盤の少し前程度だ。


 ゲームの内蔵情報的にそこのタイミングが割とランダムではある。


 しかし、もしも20程度の時に仲間にできた場合無双タイムが始まる。


 そもそもの基本ステータスが県並みに高く、弱点がないと言うのが最強たら所以だ。


 回復に補助に攻撃となんでもござれ、更に剣で攻撃すれば常に弱点をつける【剣神の加護】を持ち、すべての属性の最強剣技を覚える壊れっぷり。


 ちなみにセリアは仮に最高レベルまで上げたとしても最強の剣技など一つも覚えることができない。


 どのキャラでも愛情さえあれば最終盤面まで連れて行けるのはこのゲームの良いところだが、逆を言えばオルステッドさえいれば勇者メルさえ魔王にとどめの一撃を与えるだけで良い存在に成り下がってしまう。


 それほどの存在なのだ。


 で魔王は【勇者の一撃】でしか止めをさせないと言う設定があるせいでオルステッドの一人旅は魔王戦だけはできない訳だが、仮に【勇者の一撃】さえも覚えれると仮定すれば完全無欠の最強戦士となるのがオルステッドと言う存在である。


 できれば仲間にしたいが、やはりそれは難しいだろう。


 しかし、それが分かっていたとしても試してみたくなるのがゲーマーと言う生き物である。


(さ、試してみようか!)


 僕は早速冒険者ギルドへの扉を叩くのだった。

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