第13話魔法を使いたい

先代魔王は最後に僕の胸に手をあて、魔法陣に乗って行ってしまった。魔法陣ではマーム帝国に直接ワープすることはできないらしくエルフの森へ、まず行ってルシアの店に寄ってからは透明化して、マーム帝国に行くらしい。


そんな中僕は


「ユメミルさん、ま、魔法を教えてほしいです。」


ユメミルにそんな事を言っていた。隠蔽者が魔王城来て、あの時僕は何もできなかった。魔王という身に転生したにも関わらず魔法を使えず何もできなかった自分が悔しかった。


「ほほう、そういえばカイ様。魔法が使えない原因はなんだったんですか?」


「実は、魔力の穴?みたいなのが小さいってルシアさんに言われました。」


「ほーー、魔力の穴の問題でしたか。魔力の穴は、使って広げるしかないですからね。」


ルシアは小さい魔法から使っていけば勝手に広がるって言ってたけど、小さい魔法ってなんだ?


「ルシアさんには、小さい魔法から使っていけばいいと言われたんですけど小さい魔法ってなんですか?」


「カイ様。それを教える前に。私に敬語を使う必要はありませんよ。私は、魔王軍幹部。魔王様に使える軍なのです。そして今の魔王は、カイ様ですので、私はあなた様に使える立ち場なのです。」


「あ、はい。わかったです。ユメミル。」


「それで良いのですよ。」


ユメミルのこういうとこ。なんかいいな。強いのに変に威張ったりせず、僕からしたらおじいちゃんみたいな存在だ。


「では、簡単な魔法ですと、やはり、基本魔法になっていますかね。カイト様は基本魔法全てに最適性を持っていましたので、カイ様も全ての魔法に適性を持っているはずです。」


先代魔王は、基本魔法は、魔王国最強だと自分で言ってた。


「最初は何がオススメ?」


「私は風魔法が一番かと思いますね。攻撃、防御、補助、なんでもできますよ。」


「じゃあ、風魔法でお願いします。」


「早いですね。まぁ、私も風魔法なら、教えやすくて助かるのですが。」


僕は今、何魔法でもいいから魔法が使いたかった。魔法を使えるようになって、魔王国の力になりたいという気持ちがその時から大きくなっていった。


「基本魔法は、ほとんど感覚です。脳内感覚をイメージして、それを形に表すのです。」


脳内感覚?こんな感じかな。僕は目をつぶり去年僕らの町を襲った台風をイメージしてみた。自然災害、怖い。


ガシャッッッ!


僕は驚いて目を開けた。そこには鎖で縛られたユメミルがいた。・・・まさか、隠蔽者の仕業か?


「カイ様。これはあなたの力です。」


「・・・え?」


「これは呪い。束縛の呪いです。呪いは恐怖のイメージが必要です。今恐怖をイメージしましたか?」


僕は台風のイメージをしていたが、最後に恐怖のイメージをしてしまっていた。だから、束縛の呪いというものが発動してしまったらしい。


「すみません、しました。」


「・・・カイ様。魔力の穴が小さいのもそうですが、やっぱり、不器用ですね。」


・・・・・・結局不器用なんかい!!


僕はそう思った。


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