第10話魔王国の危機

「なっッッ!!」


次の瞬間魔法陣は僕ら三者を乗せて、魔王城へワープした。


「あ、カイ様、カイト様。おかえりなさ・・・」


「カイ!!無事か!?」


帰ってきたのは、行くときと同じ、魔王城の地下。そこには、ユメミルと魔王の妻たちがいた。


「カイト様??」


「・・・・・・ああ?」


僕らがあたりを見渡すと、その隠蔽者という者は、ここにいなかった。帰りの挨拶もせず、僕の心配をした先代魔王を心配した目で見ている、ユメミルや魔王の妻たちに事情を説明した。


「そ、そんな事が!?何もなかったですか!?」


「そのマームの隠蔽者という者。・・・ただものではありませんな。それよりカイト様。魔法陣に載っていたとすると・・・」


「・・・ああ」


先代魔王がつばを飲んだ。


「・・・そいつはまだここにいる可能性がある。」


「!?」


          ★


なんでこうなったのだ。


我なりに最大限の注意は払ったはず。


普通、人族は魔王城に入れない。魔王城には、魔王軍幹部が管理している結界がはられていて、それは、幹部が結界を自分で解かない限り、壊せるものではない。だから魔王軍幹部がいる限り、人族が魔王城に入れることは、一切ない。


だが、魔法陣で、直接ワープしたとなれば話は別だ。魔法陣は、時空の歪みを使って移動している。それはつまり、魔王城の結界をスルーできると言うわけだ。


事実、魔王城についたあの一瞬、まだその隠蔽者とやらの姿が見えたのだ。


「こ、この部屋にいるって・・・どういう事?」


まずいな。カイが怯えている。


「大丈夫だ。相手はそれほど強くない。」


我の予想では、相手は、隠蔽者とういなからして、隠すこと、隠れることが得意だと思われる。強くはないがとても厄介な相手だ。


そもそもなぜ、魔王ということがバレたのだ?姿や匂いは限りなく人族だった。はじめからつけてきていたとしても、ルシアの店に人族が入れることはどうあがいても100%ない。だから、ルシアの店を出た後だ。


「ユメミル、捕まえられるか?」


こういう作業は我よりユメミルのほうが得意だ。


「いえ、気配も匂いも全て消しており、どこにいるかわかりません。ですがこの場にいることは間違いないかと。」


ユメミルでも対処できないか。これは非常にまずい。今はまだ、地下だが、魔王城には、秘密情報がたくさんある。


それに、カイの魔力の穴に問題があり、当代の魔王が魔法を使えないということを聞かれていたとして、それがマームに伝われば、すぐにでも攻め込んでくるかもしれない。そんな襲撃を受ければ魔王国の危機だ。ユメミル以外の幹部が遠征中のこの時に。


「・・・逃がすわけにはいかねぇなぁ。」


そうは言ってみたものの、思いつくてはない。この危機をどう乗り越えるか。


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