異世界転生。なんで魔王に転生しちゃうんですか!?

@112896takeshi

序章

「・・・」

「あなたは今、前の世界で不幸にも亡くなられました。」

「・・え?」

「思い出して見てください。」


          ★


僕の名前は新波界人しんなみかいと。運動が出来て勉強もそれなりにできる、真面目な中学3年生だ。しかし陰キャ。

僕は、内気な性格で、喋ればどもり中2まではクラスメートに嫌われていた。だけど中3になって少したった頃、学校主催の合唱祭があり

元々ピアノをやっていて、音楽の感覚があった

僕は指揮者に立候補した。その結果僕は優秀指揮者賞を取り、クラスは最優秀賞を取った。その恩恵で、僕は少しの間クラスの人気者になった。今は落ち着いてきて、みんなと付かず離れずの距離を保っている。

しかし、中学3年生というもの僕には好きな人ができた。その子はクラスのマドンナ的存在で、日々争奪戦が繰り広げられている。僕は早いものがちだなと思い、好きになって一週間ほどで、勇気を振り絞って放課後その子を体育館裏に呼び出して告白したけど、振られてしまった。悲しいけどだいぶ中学生らしい生活をしている。

そんな僕には誰にも言えない秘密がある。

それは、異世界系の小説を書いていること。

僕が異世界に興味を持ち始めたのは10歳くらいの頃。きっかけは見ていたアニメ。そのころの僕は、時が来れば異世界には行けると思っていた。けれどそんな日は来なかった。

というわけで、異世界に行くのは僕の夢である。異世界で勇者とかに転生して、魔王を倒し、国の英雄とか言われてみたいものです。

だけどそれは叶わないものだとわかっているので僕は小説を書いている。小説は、自分のやりたいように書けるし、自分の作ったキャラが異世界で自分のやりたいことをすれば間接的に夢が叶う。みんなにこの事を言ったらまた嫌われ者になってしまうかもしれない。だからこれは誰にも言えない秘密なのだ。

そんなある日、僕はいつも通り学校が終わって下校している時に、前に告白したクラスのマドンナを見かけた。彼女はヘッドフォンをつけてスマホを見ながら帰っていたので僕には気づいてない。普通に歩いていると距離は結構近づいた。

そのまま歩き続けていると僕たちは信号につかまった。僕は足を止めたけど、彼女は足を止めない。信号が赤なことにきずいていないのだ。車が近づいてきている。

「あ、危ない!」

僕は叫んだけど彼女は、ヘッドフォンをつけていて、言葉が届かない。僕は全力疾走し、彼女を肘で突き飛ばした。その瞬間僕は車にはねられた。


          ★

あぁそうだ。そうだった。僕は全てを思い出した。

「思い出したみたいですね。あなたはいのちを顧みず、人を救いました。その勇気ある行動を称え、あなたの夢を一つ叶えます。」

えー?まじですか。こんな事があるのか。

「あなたは異世界転生を夢に見ていたはずですね?」

「は、はい。」

「その夢を叶えさせていただきます。」

「え、そんな事があっていいんですか?」

「普通はありえません。あなたは特別なんです。」

「は、ほ?はへぇ?」

「気になることはたくさんあると思いますが、あまり時間がないので。」

そう言うと、虹色に光る魔法陣が展開し、僕はそれに乗せられた。

「それでは、第二の人生をお楽しみください。」

とても雑に扱われ少しムカついたけど、僕の夢が叶った。


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