第百一話 今後の計画

≪立花 彩美 視点≫

 うちらが訓練を始めてから約二か月が経ち、それぞれが強くなった事を実感できたことで、次の行動に移る事になった。

 モモは一人で何か道具を色々作っていたみたいだけれど、うちらには内緒にしてるんだよね…。

 その時になって驚かせたいんだろうし、うちらも何が出て来るか楽しみにしている。

 今は夕食後の紅茶を飲みながら、皆と改めて話し合いをする事になった。


「うちらがやる事の一つ目は、クリアーしたっしょ!」

 一人ずつ視線を向けて行くと、皆自信満々に頷いてくれた。

 ミッチーも頑張って私の目を真っすぐ見てくれたし、ミッチーも少しづつ変わって来ていることを実感して、嬉しい気持ちになった。


「次の行動は三つ、クラスメイトに危険を知らせに行く、召喚した道具を探しに行く、氷龍に会いに行くだけれど…」

 うちは地図を広げて、場所を指差しながら説明を続けた。


「ルアから得られた情報で、クラスメイトはここ、イブラド辺境伯領内にある温泉地にいるらしい。

 見て分かる通りアルロレーネ王国の北西に位置していて、ここからだとかなり遠い場所になる」

「温泉は良いな」

「そうだね、お風呂は無いけれど温泉はあるんだね~」

「私も温泉に浸かってゆっくりしたいね…」

「まぁ、うちらが温泉に浸かっている余裕は無いと思うけれど、羨ましいよね」


 ルアからこの情報を聞いた時はズルい!と思ってしまったし、皆もそう思っているみたいだね。

 アルロレーネ王国から逃げ出したうちらが堂々と温泉に浸かる訳には行かないし、それは日本に帰ってから皆で温泉旅行に行けばいいと思う。


「氷龍がいるのは、うちらが一番最初に魔物を狩りに行かされたルズトール山脈の山頂で、ここから一番近い場所だけれど登山に時間はかなりかかると思う。

 そして、うちらが呼び出された場所がアルロレーネ王国の王都ロレーネがここで、直線距離だと結構離れた場所になるけれど、街道が整備されているので一番行きやすい場所かな。

 それを踏まえた上で、どの順番で行くかを皆で話し合って決めよう!」


 うちの説明を受け、皆が地図を眺めながら真剣に考え始めた。

 そして、一番最初に手を上げたのはモモだった。


「う~んと、召喚した道具を探しに行くのは、一番最後が良いと思う~。

 理由は不確定な部分が多いけれど、アルロレーネ王国も道具は全力で守るはずだよね~。

 モモ達を襲った勇影隊ゆうえいたいとも戦いになるだろうし、それ以外に軍とかもモモ達を襲って来るかも知れない~。

 かなり激しい戦いになると思うし、万全の状態で挑まないといけないよね~。

 それと、召喚した道具もかなり大きい物だと思うし、もしかすると、その場にとどまってモモが作業をする事になるかも~。

 数日間か、長ければ一ヶ月くらいかかるかも知れないんだよね~。

 その間、その場所を確保しておける戦力は欲しいかな~」

「つまり、クラスメイトも連れて行った方が良いって事ね?」

「うん、それが出来れば一番いいね~」

「そうだな!」


 モモの意見に対して、うちとミサは同意したけれど、ミッチーとリンは渋い表情を見せていた。


「藤堂達は私達について来てくれると思うけれど、その他はついて来ないんじゃない?

 委員長は危険をおかしたくないと判断するかもしれないし、森達とかは絶対について来ないわよ!」

「…僕もそう思います…それと…敵に僕達が道具を奪いに行く事を…知られることになります」

「うちもそう思うけれど、だからと言って、放置してうちらだけ日本に帰る訳には行かないっしょ!」

「うっ、そうだけれど…」

「…」


 ミッチーとリンの考えも、間違ってはいないのよね。

 でも、うちとしては、出来れば全員で日本に帰りたいと思っている。

 森達に思う所が無いとは言わないし、森達がどう判断するかは向こうの勝手だから、残ると言うのなら無理にとまでは言わない。

 けれど、黙ってうちらだけ日本に帰る事はしたくないよね。


「危険は分かっているけれど、やっぱり見捨てられないっしょ」

「…そうね」

「…はい」

 ミッチーとリンも同意してくれたし、他の意見を聞く事にした。


「モモの意見を取り入れるとなると、氷龍に一番最初に会いに行った方が良いんじゃないのか?」

「そだね、クラスメイトと合流して、それから召喚した道具を確保して、そのまま日本に帰る事になる感じかな?」

「ちょっと待って!あれから二か月以上も立っているし、藤堂達がレベル50以上に上げている可能性があるのよ!

 レベルを上げたら危険だと言う事だけでも、知らせに行けない?」

「うん、それは早く伝えてあげたいね」

「そうよね!だったら、私と満君だけでも、伝えに行っていいよね!」

「それは危険すぎるから認められないね」

「そうだな、行くなら全員で行かないとな」

「うん、モモもそう思う~」

「それなら全員で行きましょうよ!ねっ!」


 リンの気持ちは痛いほど良く分かるし、うちも早く知らせてあげたいとは思っている。

 だけど、クラスメイトの所に行くと遠回りになるし、見つかる可能性もある。

 うちがどうしようかと悩んでいると、隅の方に立っていたルアが手を上げてうちに発言を求めて来た。


「ルア、意見があるなら言っていいよ」

「はい、情報を伝えるだけなら、こちらの方で出来ると思います」

「そうなの?手紙を渡せばいい?」

「いいえ、現場に諜報員がおりますので、許可を頂ければ直ぐにでも…」

「そうなの?早く言ってよ!」

「申し訳ありません、なにぶん諜報員は秘密にしていますので…」

「あっ、そうよね、ごめんね」

「いいえ、それで、伝えてよろしいのでしょうか?」

「うん、伝えるのは藤堂 綾女あやめって人だけにして、他は信用出来ないからね!リンもそれで良いよね?」

「えぇ、それならいいわよ」

「それと、近いうちに合流するって事も伝えといて!」

「はい、承知しました」


 クラスメイトの居場所を突き止めるくらいだから、諜報員スパイの一人や二人いてもおかしくないよね。

 後は、藤堂の判断に任せる事になるけれど、委員長には知らせてくれると思っている。

 それに、レベル50以上になったらいきなり死ぬ、とか言うのは無いだろうし、あくまで仮定の話でしかない。

 ライフが減るだけで、治癒魔法を掛ければ死なない可能性もあるからね。

 実際にライフが減れば、危険を感じて治癒魔法を受けるか、ライフポーションを飲むっしょ。

 ミッチーが心配する様な事には、ならないと思っているけどね。


「ルア、悪いんだけれど、エルバートさんと国王様に準備が出来次第この国を出て行く事と、お世話になってありがとうと伝えてくれない?」

「はい、承知しました」


 本当にこの国には、感謝してもし足りないくらいお世話になった。

 うちらの衣食住に訓練、それと、モモが使う材料も融通してくれたんだよね。

 モモが道具の作り方を教えたから大丈夫だと言ってたけれど、本当にそれでよかったのかな?

 後でもう一度、モモには確認しておこうと思うし、足りなければ何かしらのお返しを考えないといけないけれど…。

 うちらに返せる物なんて、モモの作った道具くらいしかないんだよね。

 モモに頼る事になるけれど、きちんとお世話になった分は返さないといけないららね。

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