第九十二話 直江&浅井パーティー

≪藤堂 綾女 視点≫

 委員長パーティーから別れ、私達は浅井あざいパーティーと一緒になって魔物狩りを始めていたわ。

 女子七人、男子二人のパーティーになって、直江兄弟が浮かれてへまをやらかさないか心配だわ…。

 実際に直江兄弟は女子に囲まれて顔を赤くしているし、私が注意してやらないといけないわ。


聖盾せいじゅん!直江兄、背中ががら空きよ!直江弟、兄の後ろに魔物が行かない様にしっかり見張ってなさい!」

「「はい!」」

 直江兄が良い所を見せようと魔物に突っ込み、直江弟も兄に負けじと魔物を倒したから、他の魔物が後ろに回る隙を与えてしまったわ。

 恵茉えまが頑張って守っていても、前に出過ぎたら意味が無いのよ!

 私が聖なる盾を出して守らなかったら、今頃直江兄は魔物に噛みつかれていたと思うわ。

 後で直江兄弟には、しっかりと説教しないといけないわね!


 直江兄弟に比べて、元陸上部の浅井あざい 陽菜乃ひなのと池田 小春こはるのコンビは良いわね。

 浅井が槍で牽制し、近づいて来た魔物は池田が倒しているわ。

 その二人をサポートする、木下 ひびきと柴田 佳奈かなの二人の魔術師が、前衛の二人の後ろに回り込まない様に魔法を撃ち込んでいるわ。

 遠距離攻撃をしてくれる人がいるのは、やっぱり楽だわ。

 高山が抜けたことで、その事を十分理解できたわ…。


「藤堂さんは皆の手助けが出来て良いよね、私なんか見ているだけしか出来ない…」

「今はそうだけれど、皆が怪我をしたら細川の方が私より役に立つわよ」

「でも、怪我はして貰いたくないよね…」

「そうね、私達の出番がない方が良いに決まってるわ!」


 私に話しかけて来たのは治癒師の細川 くるみで、白魔術師の魔法が羨ましく見えるみたいだわ。

 白魔術師は治癒師の上級職にあたり、治癒師は治療しか出来ないけれど、白魔術師は魔法の盾を作り出して皆を守ったりできるわ。

 それだけ聞くと、白魔術師の方が優れているように思えるけれど、上位職のレベルの上がり方を思うと、私も治癒師の方が良かったと思ってしまうわ。

 私がやっとレベル20になった所で、細川の方はもう直ぐレベル40に到達しそうな勢いよ。

 私のパーティーは恵茉だけが一般職で、直江兄弟と私が上位職だけれど、浅井パーティーは全員一般職だから、どうしても浅井パーティーの方がレベルが高くて活躍してしまうのよね。

 だから、直江兄弟が余計に張り切っているのだけれど、レベルの差は埋められないわね。


「今日も私達の勝ちだね!」

「いや、別に勝負はしていないけれど、浅井たちの勝ちで良いわ」

 私達のパーティーは直江兄弟しか魔物を倒せるのはいないけれど、浅井のパーティーは四人もいるわ。

 最初から勝負になるはずもないのだけれど、体育会系は勝負にこだわるから面倒だわ。

 それでも、浅井パーティーと組んだのは正解だったわね。

 委員長パーティーの時より危険は増したけれど、あんな温い状態で戦っていても強くは成れないわ。

 それに、浅井達と仲も良くなったし、いい雰囲気のパーティーになっていると私は思っているわ。

 直江兄弟達も浅井達と普通に会話出来ているし、女の子達に囲まれてデレデレしているわ。

 

「直江、テント張るの手伝って!」

「はい!」

「直江、食器を洗って頂戴!」

「はい!」


 残念だけれど、直江兄弟は浅井達にいいように使われているだけだわ。

 直江兄弟は服装が違うのだけれど、浅井達には兄弟の区別が出来ない、するつもりはない様なのよね。

 つまり、男として見られてないのよ。

 本人たちは気付いて無いし、このまま黙っていた方がパーティーとして上手く行くんだと思うわ。


「やっと帰れるのね」

「うん、綾女ちゃん、疲れたね」

 今回の魔物狩りは、二ヶ月もやらされたわ。

 お陰で私と直江兄弟はレベル30に、恵茉と浅井達はレベル48まで上がっていたわ。

 もう少しでレベル50に成れたのにと、浅井達が残念がっていたけれど、疲れたままで戦い続けたくは無いわ。


「勇者様方には、このまま魔王国との国境まで移動して頂き、魔王国に攻め込んで貰います!」

「えっ!?嘘よね?」

 二ヶ月の魔物狩りで疲れ果てているのに、このまま魔王国に攻め込むの?冗談じゃないわ!?

 私は護衛の兵士達に抗議したけれど、聞き入れて貰えなかったわ…。

 兵士達の説明によると、冬になる前に侵攻しなければ、魔王国側から一方的に攻撃されるらしいわ。

 寒い冬に戦いたくないと言うのは理解出来るけれど、休まないと体が持たないわよ!

 結局、休む間もなく移動を続け、半月をかけて国境付近へとやって来たわ。


「おめーら、まだレベル50になってねーのかよ!」

「俺らレベル55だべ!」

「そんなんじゃ魔王どころか、魔族に殺されちまうぞ。俺らの仲間になれよ、守ってやるからよ!」


 久々にクラスメイト全員がそろったのは良いけれど、森達が自分達の方がレベルが上だとマウントを取って来たわ。

 私達からレベルを教えた訳ではないけれど、北条先生が賢者だから、私達のステータスを覗き見して森達に教えたんだわ。


「先生!いくら先生と言えども、やって良い事と悪い事があります!今後は二度と私達のステータスを覗き見しないで下さい!」

「いえ、私はただ皆の事が心配で…」

「い・い・で・す・ね!」

「はい…」

 委員長が怒って、北条先生に抗議していたわ。

 もっと言ってやればいいのよ!

 と言うか、北条先生の信頼は地に落ちたわね。

 まぁ、元々私は信頼してなかったから、何も変わらないのだけれどね。


 問題児達と北条先生は無視するとして、浅井達と今後の事を、もう一度話し合った方が良さそうだわ。

 浅井達を集め、話し合いを始めたわ。


「これから魔王国に攻め込む事になるのだけれど、私達は最前線に立たされるわ。

 一応、私達の後ろに軍がついて援護してくれるみたいだけれど、当てにしない方が良いと思っていた方が安全ね。

 それで、委員長から話があったのだけれど、もう一度委員長達と組む気はない?」

「私は無いかな…、皆はどう?」

 浅井が他の四人に確認するも、全員首を横に振っていたわ。


「そう、私達も委員長達と組まない方が良いと考えていたわ。

 この二ヶ月の間で、私達の連携が上手く行くようになってきているわ。

 確かに、委員長達と組めば人数が増えて安全度は増すかもしれないけれど、今更委員長達と連携は出来ないわよね。

 私達なら協力し合い、どんな強敵も倒せると信じているわ。

 皆で支え合って、誰一人欠ける事無く生き抜くわよ!」

「「「おぉ!!!」」」


 浅井達となら上手くやって行けるし、生き残りたいと思っているわ。

 立花達が居てくれれば心強かったのだけれど、あいつら上手くやっているのかしらね?

 立花達の事を兵士達に聞いても、知らないとしか答えてくれなかったし、上手く逃げ切ったのだと思うわ。

 立花達が日本に帰る方法を見つけ出し、私達の所に戻って来てくれると信じているわ。

 出来れば、魔王と戦う前に戻って来て欲しいけれど、そうなった時には魔王を倒すより、生き残る事を考えた方が良さそうね。

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