第1389話 セフティーフォートレス *400000匹突破*
階段を昇り、右手にドアがあった。
「非常口、ね」
まさか異世界で緑のピクトさん(ピクトグラム)を見るとは。世界観が迷子だよ……。
ドアに鍵はなく、ドアノブも錆びてはなくすんなり開いた。
「右です」
通路が左右に伸びており、マルスさんの指示で右に進んだ。どうもこの通路は倉庫か物置みたいなところのようだ。
「造りは二十一世紀みたいだな」
なんかホテルのスイートルームとか思わせるな。泊まったことないけど!
横開きの戸が現れ、それを引くとリビングルームが現れた。
「二十、いや、三十畳はあるか。何人入れてたんだ?」
まあ、要塞と言っているのだから個人で使っているわけないか。仲間と暮らしていたんだろうよ。
壁を探ると、スイッチがあり、オンにする──が、当然のように点くことはなかった。
「ちょっと待っててください──」
ホームに入ると、ミリエルが先に入っていた。
「ミリエル。ロンレアにこれるよう調整してくれるか? 急がなくていいんで」
「わかりました。なにかありましたか?」
「あとで説明する。今はちょっと忙しいんでな」
「わかりました」
すまんなと謝り、外に出た。
──ピロリロリーン!
はぁ? え? このタイミングで? 三十万匹からアナウンスなかったのに?
──四十万匹突破してました~!
なんの事後報告だよ? 忘れてたんならアナウンスしてくんなや! 心臓に悪いわ!
──まあまあ、いい情報を伝えにきたんですから。
いい情報だったためしがあったか? 問題を伝えにきた記憶しかないよ。
──孝人さんがいた場所はセフティーフォートレス。二千年前くらいの駆除員に与えた拠点です。そのころはゴブリンの女帝が暴れていた頃、駆除員を五人、纏めて配置したんですよ。
五人? 駆除員を一斉に? 纏まる未来、いや、纏まる過去が想像できないんですけど。
──はい。一年もしないで崩壊しました。何度かやって、そのうち一人はロンレアに落とすんですが、七百年前にやっとセフティーフォートレスに到着したのに、三年しか生きれませんでした。
落とすって表現にぴきるが、それはあとだ。毎回ってことは今回もか?
──はい。準備金も百万円は与えたのに一月で死んでしまいました。
その人が哀れでしかない。激戦区を任されたんだからな。今のセリフからしてセフティーフォートレスじゃなく、離れたところからスタートだろう。そして、セフティーホームは与えなかったろう。無茶だよ。無謀だよ。オレなら三日で死んでいたよ!
──セフティーフォートレスに送る人は自衛隊の人で、隊を率いていた人なんですけどね。まあ、隊員から好かれてはいませんでしたけど。
敗因それ! 間違いなくそれ! 下から嫌われているヤツをなんで選んだ! 要塞に辿り着いたところでロンレアを纏められるわけないじゃん!
──戦闘能力は高かったんですけどね~。やはりリーダー経験者にすればよかったかな~。一応、孝人さんも候補に上がっていたんですよ。でも、使いも──ゴホン。一般人には雑魚を相手してもらおうと思いました。
テ、テメー、かなり失礼で無慈悲なことを言っていると知りやがれ……!
──まあまあ、そのお陰で孝人さんは生きているんだからいいじゃないですか。
元凶が言うなや! 一番言っちゃダメなヤツがお前なだよ……!
──セフティーフォートレスはゴブリンを倒しても魔石を投入しても動くようになります。マナックでも可ですよ。まずは指令室を目指してください。そこに魔石投入口がありますので。それで人工知能のヨシコが目覚めます。あ、吉に子でヨシコです。
よ、吉子って。誰が名づけたんや? 昭和な人か?
──一応、そこの部屋にも魔石投入口はありますが、ゴブリンの魔石専用なのでご注意を。他は大丈夫ですから。では、五十万匹目指してファイトですよ!
それはまだ十万匹は相手しなくちゃならんってことかよ。ふざけんな!
「……タカト、どうした? 落ち着けよ……」
怒りのままに壁を殴り、痛みで我を取り戻してくれた。クソが!
「女神からのアナウンスだ」
グローブを外し、血に滲んだ拳に水をかけた。床はあとで掃除しますんで。
「女神様からですか!?」
「切りのいいところで女神様がタカトに話しかけてくるんですよ。まあ、大概碌な内容じゃないみたいですがね」
オレの代わりにマベルクが二人に説明してくれた。
「マベルク。ゴブリンの魔石を出してくれ」
換金用にいくつか持たせてあるのだ。
魔石が入った袋をもらい、リビングにある投入口を探した。
「これか?」
口ってより吸収板って感じだな。ここに魔石をつければいいのか? お、一瞬にして消えちゃったよ。
十数個の魔石が吸収されると、板に十二パーセントと表示された。
「結構吸収させんといかんのか? マベルク。さっきのスイッチを押してくれ」
「わかった」
マベルクが壁のスイッチをオンにすると、リビングの電灯が明るくなった。
「す、凄い!?」
「なんて明るいのかしら!」
人工灯は経験あるだろうが、さすがにこの明るさにはびっくりだろう。ホームより明るいんじゃないか? 逆に目に悪そうだわ。
「とりあえず、休憩しましょうか。トイレはそこですんで」
十二パーセントだが、一時間くらいはなくなったりしないだろうよ。
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