第1376話 日本人の魂

 なんかマイセンズのデザインじゃないな。


 他の乗り物は数百年先の技術やな~って思えるのだが、これはなんかアニメ的な気がする。


「コンゴウ? 金剛か?」


 艦橋の後ろにプレートが埋め込まれ、そこに古代エルフ語でコンゴウと刻まれていた。


 コンゴウなんてマイセンズにない言葉だ。日本語っぽい響きだ。


「初めて見る造りだな。マイセンズはこんなものを隠していたとは。これは、どう操るんだ? なんかバイクみたいだな」


 そう。操縦席がバイクに跨がるような造りになっていた。


「バイク型コクピットか。完全に駆除員の発想が入ってんな」


 なんで船を操るのにバイク型コクピットにする意味がわからないが、駆除員(日本人)だと考えたらただただ納得しかできない。不思議でありながらなぜか理解できる。きっと日本人の魂に刻まれたものなんだろうよ。


「わかるのか?」


「わかってしまうところが駆除員なんでしょうね」


 暴論だが、日本人ならわかるはずだ。意味とか理屈よりロマンを大事にするところをな。


「キーまでちゃんと用意しているよ」


 金剛と刻まれたプレートの横にキーがかけられていた。


「簡単に予備を作れそうな形だな」


 きっとキーに合理性はないと思う。きっとロマンなんだろう。ロマンを形にしたのがこれなんだろうよ。


「動くのか?」


「ちょっとやってみましょうか」


 バイク型コクピットに跨がり、キーを穴に差して回してみた。


「動かんな」

 

 まあ、魔力がないのだろう。それかバッテリーが切れたかな?


 日本人の発想が活かされているのなら説明書があるはずだ。


 一度、降りてコクピット周りや周辺を探すとビンゴ。スマホっぽいものが出てきた。


 これはプランデットと同じく持ち手の魔力で起動するものだ。マイセンズの技術も織り込まれてはいるようだ。なら、プランデットにも接続できるってことだ。ほら、できた。


「……なるほど。やはりコクピットに予備のマナ・セーラが搭載されているか」


 なんとにくマンダリンのマナ・セーラの造りに似ていたからそうだと思ったよ。


「ヤカルスクさん。外に魔力を送るケーブルがあります。ハッチを開くので差してください。リーク30コウってヤツです」


「あれか。場所はわかる。任せろ」


 ヤカルスクさんが出ていき、オレはコクピットのマナック補給口を開いてマナックを十個セットした。


 金剛自体は魔力充填型。スペック的には満タンで二百時間。約八日稼働できるようだ。


 もちろん、戦闘となれば消費は早くなり、一日二日でなくなるんじゃなろうか? まあ、そもそも長時間戦闘するものではないか。バイクに何時間も乗るなどできないし、武装がそもそもそんなに強くはない。


 発射型ミサイルが六発。魚雷が十二発。中型パージパールが一門だ。長時間戦闘なんてできるわけもない。支援する艦がないと遠いとこれまで航海はできないだろうよ。


「アレクライトと行動する形になるな」


 二百時間は動くとは言え、大陸間には使えないだろう。ガーゲー周辺か魔力炉を持つアレクライトに同行させるしかないだろうな~。マナックだけでは追いつかんよ。


「魔力が満タンになるまでかなり時間がかかりそうだな」


 この感じだと四時間か? 短いようで長いな。戦闘なら致命的な時間だろうよ。


 まあ、今回は急ぐこともない。待っている間に弾薬庫に向かってみた。


「戦争をするだけの量だな」


 さすがにこれでどれだけ戦えるかまではわからんが、これを使う戦いがないことを切に願うばかりである。


 弾薬を運ぶフォークリフトや天井クレーンはある。これはオレでも使えるものなので、搭載できる弾薬庫を運び出した。


 搭載するのは金剛に魔力が充填されてから。水に浮かべてからだ。


 四時間とちょっとで魔力が満タン。ドッグ扉を開放して水を入れて浮かばせた。


 天井クレーンを使ってまずは魚雷を搭載させる。


 専用設備がなければ金剛に搭載するのも大変だ。こんなもの海上でやろうとしたら一苦労だ。港で巨人に入れてもらうしかないんじゃないか?


「益々運用が大変だな」


 だからって捨てるつもりはない。これはこれで使い道があるんだからな。


「クーズルースに積んでガーゲーに運ぶか」


 あそこなら改造できるし、魔力充填もできる。必要なものを持ち出したらここは閉鎖してもいいだろう。維持する魔力もとんでもないからな。


「てか、二人でやれる量じゃねー!」


 ちょっとした体育館二つ分もあんだぞ! 出すのに余裕で一月はかかるぞ!


「ライリカルにバルビーを改造してもらったほうが早いかもな。半年後にまたガーゲーから魔力を引っ張れば問題ないだろう」


「そうしますか」


 また一月もホームに籠るのは勘弁して欲しいが、人を集めて教育してたら五年後とかになりそうだ。それなら一月籠るのは諦めるしかないだろうよ。


 とりあえず出したものはクーズルースに運び入れ、金剛、敷波、霧島、榛名、扶桑にシールを貼って小さくした。


「戦艦マニアだったのかな?」


 調べたらそんな名前の戦艦と女の子がタブレットに現れたよ。


「タカト。魔力を遮断するぞ」


「了解です」


 必要なものはホームに運び、魔力を遮断して実験区をあとにした。

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