定年後に向けて、じじいは足掻く。この厳しい世界を生き抜くために。

久遠 れんり

バックグラウンド

第1話 切っ掛けは突然に

 ある日メールが来た。


 少し前に、皆が騒いだNISA。

 2014年1月から始まり、訳も分からず、市役所に行って必要書類をもらい申し込みをした。


 そう、もう忘れたが、住民票と印鑑証明だったか、何かの証明書が必要だった。


 そうして、銀行口座だけではだめで、証券口座なるものを開設する。

 だがそこから一〇年。

 眠らせていた。


 親からの借金申し込みや、子どもが結婚して、余裕がなくなったからだ。


 そこから、孫の誕生やなんやかや。


「会社? 長いこと勤めれば一千万近くまでは行くだろう」

 などと言っていた世代とは違う。

 三十歳を超えたあたりから、横ばい。

 上がるかと思ったら、また下がり、そこから横ばい……


 そう暗黒の時代。


 税金と見えない、復興や森林関係を含めれば、国民負担率は、46.5%にまでなっているこのご時世。


 団塊の世代は七十五歳を超え、ジュニア世代も五十歳台へと突入。


 そうこれから、もっと厳しくなる世界。


「生きろ」

 そうは言うが、貯蓄も厳しい人間には、辛い世界。

 たまたま、私は話を書くことで、発散をしているが、商売にはなっていない現実。


 そんな時、いつまでほっとくんや、いい加減入金せいや。

 そんな文言ではないが、ニュアンスはそんな感じで、証券会社からメールがやって来た。


 うーんと悩み、始めることにした。


 先ずは、月払いで投資信託。

 これがNISA。知らぬ間に新が付いた様だが、移行するらしい。


 日本を避けて、世界株。

 そして、するなら自分で売買したいと考えるのは普通だろう。 

 世にあふれる億り人の伝説。


 簡単に勝てる、これだけすれば億万長者。

 そんな文字が世にはあふれている。

 やるしか無い。

 最低でも六十五歳までに二千万円。

 いければ一億。


 夢だけは大きく、投資は地道に。

 資金が大きくなる前に、飛ぶことが無いように頑張る。

 ええ気持ちはね…… できるかは別。

 


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 意気込んでみても、 先ずは株。現物取引。

 そう資本が100万以上あり、半年以上の経験がないと信用取引ができない。


 ネットで色々設定をして、銀行口座と証券口座を紐付ける。

 これでいちいち、銀行側へ行かなくてもすむようになる。


 で、眺める……


 何がなんだか、判らない。

 そして、何が分からないのか分からない……


 少し用語を並べてみる。

 以降、必要そうなら追加します。


 先ずは株。


 企業が、自己資本以外に、資金を調達するために発行する。

 新株発行時は、抽選だが資本のない人はあたらない。

 募集をかけても、人が集まらない株はたまに当たるらしい。

 当然、伸びずに終わるとの事。

 新株発行はIPO。

「Initial Public Offering」

 

 それで、調達時以外は、株を売買している人間の中だけで回っていて、企業は自社株を切り売りしないとお金が入らないらしい。


 取引基本数は百株。


 出来高。

 これがないと、過疎っています。

 すぐ逃げましょう。


 そして、よく見るチャート。

 そうよく見る、値段のグラフ。

 皆その動きに必死になり、命さえかける悪魔のような物。


 中には、基準線という物も書かれていて、これが大層重要らしい。


 板。

 これは、今の価格を中心にして、売りと買いの金額ごとの待ち構えている金額が書かれている。

 幾ら下に、買いたい人間が手ぐすね引いているとか、幾らまで上がれば売ってやろうと待ち構えているのが見える。


 そう、どう見ても、売りたい人ばかりのところで株を買うと、値段は下がり泣くことになる。



 後はローソクとか……

 一日とか、基準時間でローソクは作られます。ボックスと、髭で構成されていて、本来の値段が窓と呼ばれるボックス部分、髭はノリノリの人が飛び抜けた金額。


 ナンピン買いとかは、保有している銘柄の株価が下がったときに、さらに買い増しをして、損を薄めようとすること。

 下がっているときは、大抵皆売るのでもっと下がります。

 たまに上がると、押し目からの購入になるのでラッキーですね。


 デイトレードは、モニターを眺めて一日でしまうこと。

 前場の寄り付き直後に意外と動きがあり荒れます。

 前日の大引により大きく上がったり下がったり。

 多くは、ローソクの髭になったりします。


 忙しい人はスイング。

 数日掛けて粘るとき、多少上がろうが下がろうが気にしてはいけません。目標値を決めそこまでは触らない覚悟と、大幅に落ちたとき、きっぱりと諦める覚悟が必要です。


 後は成行と指し値。

 売買で、買える時に買ってとか売ってと言うのが成行。

 指し値は、金額指定。


 だけど、ここまで下がれば、損切りで売りかなとか言って、注文を出すと、買いたい人がいた場合、今はまだそこまで下がっていなくともその値段で買われて損します。


 ええ、やっちゃいました。

 大損で、五千円ほど捨てました。

 指し値は、安い金額で買って、高い金額で売りましょう。


 まあ用語は、膨大で検索をしてください。


 アイスバーグさんとか出てくるし、楽しいですよ。


 必要な情報もすべてが広大。

 いざ行かん、生活のために……

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