第5話 紅黒のアガペー
バタンッ、という音とともに突然教会の扉が開いた。
「ヘヘっ、いいことしてるじゃねーか」
木扉を開け入ってきたのは村の若い男たちだった。
「こいつは驚いた、まさかシスターさんがこんな事をしてるなんてな」
「ヒュー、すごい下品な身体してるな」
「ウッヒョー、真っ黒じゃねーか」
男たちは彼女に下品な言葉を浴びせかけた。
「シスターさんよぉ、俺等ともイイコトしようぜ」
「ソイツよりも気持ちよくしてやんぜぇ」
こいつらっ、何を……
「はい、喜んで」
彼女はうっとりとした表情でそう答えた。
思ってもいなかった彼女の言葉に僕は衝撃を受けた。
僕は男たちに抑えられ、彼女の身体が村の男たちに汚されていくところを見させられていた。
「スゲーぜこのシスター、ガバガバ過ぎていれてる感覚がまるでしねぇ」
男たちの下卑た声が教会に響き渡る。
「こちらも空いていますよ?」
お尻を差し出しながらシスターは蕩けるような表情で男たちを誘った。
別の男が彼女の後ろの蕾に挿入し彼女の蕾は慣れたようにそれを受け入れた。
「ああっ良いですっ!あなた方のアガペーを感じます!」
前後から責められ彼女は喜びの声を上げた。
男たちが激しくするたびに彼女の口から艶めかしい嬌声が響き渡る。
そんな彼女の声を聞くたび僕は心臓が張り裂けそうだった。
くそっ、
もう、やめてくれ。
やめてくれ。やめてくれ。やめてくれ。
やめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれやめてくれ。
『それが、お前の願いか?』
不意に声が聞こえた。
どうやら男たちには聞こえていないようだった。
あたりを見回すと、教会の奥に黒い神像が置かれているのが目に入った。神像はテラテラと艶めかしい光を放っていた。
気がつくと、僕は深紅の海の中にいた。鉄の香りが鼻を刺し、生温かい液体が肌を濡らす。
深紅の海に浸かりながらシスターが僕を恍惚の表情で見つめていた。
僕の心はこれ以上ないほど昂っていた。
違和感に股間を見ると僕の貧弱だったものは兇悪さを感じるほどに大きく黒く雄々しく猛り狂っていた。
「シスター、僕があなたを救い出してあげます」
「アガペーを」
彼女は後ろ向きに四つん這いになり両足を大きく開きお尻を高く突き上げた。黒ずんだ蕾とその下の黒い裂け目が露わになる。
裂け目はポッカリと広がり深紅の闇が口を開けてヒクヒクと蠢いていた。
僕はその開ききった深淵に黒光りする凶器を捻り込んだ。
「ん゙おお゛お゛お゛お゛ぉおおおぉおほおぉおおおぉぉぉ」
獣のような声が赤く染まる教会内に響き渡った。
僕の猛り狂い脈打つ凶器は彼女にぴったりとフィットした。
まるではじめから一つのものだったように。
最奥を突き上げるたび彼女は獣のような声をあげ、引き抜こうとするとそれを拒むように絡みつき、黒い肉襞が引きずり出される。それを幾度も繰り返し僕らは一つに溶け合った。
――――――
その夜、村人たちは教会の方から恐ろしい獣が鳴くような声が響くのを何度も聞いた。
数刻の後、教会から火の手が上がり、その炎は夜空を赤く染め上げた。その様子は禍々しく村人たちは恐怖した。
皆が優しく美しいシスターの安否を心配した。
火事の対応に追われる中、誰かが若い男たちがいないことに気付いた。
火事は彼らの仕業だろうということになった。
彼らがシスターに乱暴を働こうと教会に押し入り、何かあって火事になったのだろうと。
焼け落ちた教会から複数の男性の死体が発見され、推測は正しかったのだと結論付けられた。
―――――――
僕らは夜明け前、気づかれないように村を出た。
シスターは『アガペー』を広めるために、
僕はシスターを救うために、
黒い神像を共にしながら。
紅黒のアガペー、完
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