第72話

「あ……どうしてアタシのコトを?」


急に不安が押し寄せる。


この結婚はまだ表沙汰にはしていないのに。



「ああ、僕は諏訪と大学時代からの……、」


そう言ってその人は考え込む。


大学時代からの、なに?


友人?知り合い?



「……滝川と言います。」



「あ、浜崎です。宜しくお願いします。」



なんだかうやむやにされた感が残るんだけど、いいか。


それにリオと面識があるみたいだから大丈夫かな。



「あの、時間ありますか?」



「は?」



「ないなら別にいいんですけど。」


滝川さんは自分から言っておきながらあっさり引き下がる。


アタシは腕時計を見るとリオとの待ち合わせの時間までもう少しあったから了承した。

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