第70話

――――――……


平日、リオにランチに誘われる。


すれ違いの多いアタシ達でも朝食は一緒に食べているのに?と彼に言ったら、


“平日の昼下がりに彼女とランチしてみたかった。”



なーんて言われてちょっと嬉しかったりする。



アタシは休憩時間になると彼の会社に急いだ。


自分が働いている会社からリオの会社は目と鼻の先。


だから婚約するまでは父とランチをすることもあった。


アタシは回転ドアをくぐるとエントランスに入る。

バッグから携帯を取り出すと、リオに連絡を……、


「わっ……!?」



携帯に気を取られてアタシは前の男性の背中にぶつかってしまう。



「す、すみませんっ……っ!」



そう謝って振り向いた男性は……、


日本人なのかと目を奪われるほどの綺麗な顔をしたヒトだった。

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