第55話

「え?何かおかしい?」


俺は手のひらを頬にやる。


そんなにどうしようもない表情に見えるのか?


沙良を想う気持ちが……、



「あ、諏訪マネージャー!」


突然背後で自分の名を呼ぶ声が聞こえて俺と滝川は驚く。


「すみません、お呼び立てして。もうすぐ主任が来ます。」



その女性はそう言って頭を下げた。


その時、彼女の首にかけていたネームホルダーが揺れる。


それには、ローマ字で名前が書かれていた。


ハナ・スミダと。

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