第9話

「名前?」



「そう、いつまでも他人行儀じゃこの先色々困るから。」



色々困る?



「……じゃあリオくん?」



「くん、はいらない。子どもみたいで嫌なんだ。」



「リオ……って?」



アタシが恥ずかしそうに言うと彼は満足そうに微笑んだ。


「そう。じゃあ沙良、宜しく。」



「は、はい。」



わ……初めて名前呼んでもらった。


アタシはこの妙にドキドキする感情を抑える事が出来なかった。

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