第10話



「ーーーーアンジュ?」



「うん?」



「一体、何があったんですか?」




俊也の関心の全ては、目の前の彼女だけに、一心に向けられる。



ただ、主だけに。




「知っているくせに。」




首を傾げる俊也に、唇を突き出す。




ここに来て初めて見せた、それは彼女のあどけない仕草だった。




「ふっ、えぇ、ですが、」




俊也に目が、愛おしげに細まる。




「うん?」



「貴方の口から聞きたいのです。」    



譲らない俊也。

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