第40話




「私を止める事は誰にもできません

この為だけに力を付け、この街に戻ってきました」



「飛鳥さん、すみません。本当はわかっています、母も父もこんな事望んでいない事ぐらい、でもこうする他なかったんです


許せないんです、忘れる事ができません

母と父を殺したアイツの顔を、今でも思い出します」



「莉衣...」



「飛鳥さん、会いに来るのがこんな形になってしまって、すみません」



「...いいんだ、莉衣が生きていてくれてた

ただそれだけでいいんだ。でもね莉衣、約束して?

何があっても、絶対にここに戻ってきて?ここは莉衣の帰る場所だよ?」



「......」



「それに飛鳥さんなんて、そんな他人みたいな呼び方やめてよ。

昔みたいに飛鳥って呼んで?」



「、、、あ、すか、」



「うん、おかえり莉衣」



「ただいま、飛鳥」



「帰ってきてくれて、生きていてくれて、本当にありがとう

今日から僕達は家族だよ」




そう言いながら、飛鳥はもう一度莉衣を強く抱き締めた

そんな飛鳥の背中にソッと回る手

少し遠慮するように、キュッと服を握った莉衣だった




『いつかこの手が昔みたいに、僕を抱き締めてくれるまで、どんな事があっても絶対に莉衣の傍を離れない。また莉衣が、昔みたいな笑顔を取り戻せる為なら、なんだってしたい。この子をもう一人にはしたくない』



そんな事を思いながら、強く強く莉衣を抱き締める飛鳥

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