第22話






「臣に探りを入れるように言ったのは、烏と接触を図りたかったからだ


烏がこの街に現れた時から、烏ならば10年前の事件について、何か掴めるかもしれないと思っていた。だから臣に探りを入れるように言った」




「だから月城組のデータベースを上手く使って、烏に探りを入れたんだ」




そう言いながら部屋に入ってきたのは、臣だった。




「別に右京や黎二に隠していた訳じゃないよ。ただ烏に接触をする事、それはこちらからしても、危ない橋だ。何が起こるかわからなかった」





「その点、月城組は捨て駒にちょうどよかった

最近妙な動きも多かったし、そんな月城組が烏に接触しようとしていると考えてもおかしくない、それに元々潰す予定の組だ、どうなろうとこっちには関係なかったしね」




臣は、その可愛らしい見た目とは裏腹に、笑顔で残酷なことを、平気で言葉にする。




「でも四季はあの時、烏が知り合いみたいな言い方をしてたんとちゃう?」




そう口を開いたのは、今まで黙っていた黎二だ。




「あんな四季を見るのは久しぶりやで?なんだか楽しそうにしてたやん?」





四季はゆっくりと視線を窓の外へと向けた。


「.....二日前だ、西の虎から接触があった。」




「「っっ!!」」




静かにそう呟いた四季に、驚き表情を浮かべた。




「西の虎って....ほんまなん?」




「確証はなかったが、俺でさえ知らない情報を持っていた」




「でもっ!西の虎といえば、こちらから接触を図った時は、まったく相手にもされんかったやんっ!」




「落ち着け」




そう静かに呟き、四季は二日前の出来事を語った。

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