第17話






だが二日前、思わぬ人物から接触があった。




それはいつものように、クラブの巡回である店を訪れた時だった。


VIP席で支配人からの報告を受けていると、プライベート用の携帯が着信を知らせ、画面に映る非通知の文字に眉を寄せた。




この携帯は特定の人物にしか教えていない、非通知から着信があるなどあり得ない。




着信を知らせる携帯を暫く見ていた四季だったが、鳴り止む事のないその携帯を手に取り通話のボタンを押した。




無言のまま、静かにその携帯を耳に当てた。





「......」





「やぁ、初めまして、闇の帝王。

貴方の探し物、居場所を知りたくはありませんか?」




「っっ!!」





静かに聞こえたその言葉に、思わず目を見開き息を呑む四季。





そんな四季の変化を周りの人間達も感じ、

「何か問題でもありましたか?」

と静かに声をかけた。





そんな支配人へ、四季はすぐにこの場所から人払いをするように指示をした。





「俺がここを出るまで暫くの間、誰も近付けるな」





そう言うとこの場に居た人間が一礼をし、出て行く姿を確認してから、電話の向こう側の人間へと問いかけた。





「なんの事だ?」




「おやおや、そんなに威嚇をしなくても、

誰も取って喰いはしませんよ」




クスクスッ、と笑い声が聞こえたかと思えば


「帝王、何も悪戯の電話などではありませんよ?

貴方の探し物、私はその探し物の居場所を知っています」





「知りたくありませんか?

貴方が10年前から探している人物の居場所を」





「っっ!!」

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