第3話 異世界魔王と勇者の作り方1

樹「魔素は魔物から出ている。って考えるのが自然だと思う」


学「何で魔物が魔素を出しているのが自然なんだ?」


樹「考えても見ろよ。魔素が空気中を漂っている、自然の土や川なんかにも溶け込んでいる、なのに自然の木や石なんかから魔素が放出されているなんておかしいだろ。それに、魔素が魔物から出ている事にすれば、魔物の解明もある程度は出来るんだよ」


学「でも酸素のように木が生成していてもおかしくは無いと思うけど。それに魔物が魔素を出している事による、魔物の解明って何だ?」


樹「そうだな。何から説明したほうが良いかな。とりあえず、魔素が魔物から出ている。そこは良いな?」


学「仮定の話な。良いよ、続けて」


樹「まあ、仮定の話なんだけど、今までの全部が。まあ、いいか。それで話を戻すと、魔素は魔物から出ている、という事は更にその元、そもそも魔素って何だ?ってことになるよな?」


学「確かにそうだな。魔法元素って事にはしてあるけどなぜその元素が異世界にあるのか、何のためにあるのか、そしてその元素を出している魔物は何故いるのか?色々な疑問が湧いてくるな」


樹「そう、そうなんだよ。つまり何で現代には魔素が無いのに対して、異世界では魔素が有り魔法が使えるのか?もうこれは、ズルい言い方しか出来ないけど、神の都合としか言えないんだよ。簡単に言ってしまえば、文明の発達を遅らせたかった。かな?」


学「それはまた、神を出してきたか。何で文明の発達を遅らせたかったんだよ。神は。しかも、それと魔物とどんな関係があるんだよ」


樹「文明の発達を遅らせたかった説明はまた後で説明するとして、まずは魔物だ。魔物達の生態って実は知っているようで、何も分からないことが多くないか?」


学「えっ、そんな事無いだろう。だって魔物は倒すべきもので、適度に倒していないと大量発生して街なんかを襲うし、魔物は魔物である程度統率は取れているし、あと何だ?」


樹「そうなんだよ。魔物に関して知っているのは人間側から見たことしか分からないんだよ。じゃあ聞くが、魔物の子供はどれだけ居る?どこに?他の魔物には子供は襲われないのか?あれだけの種族がいて何で統率が取れているんだ?それに街を襲うときの魔物の子供はどこにいたんだ?冒険者に見つからずに隠れていられたんだ?」


学「そう言われればそうだな。確かに魔物の子供の描写は有ることは有るが、全ての種族の魔物の子供、しかもその生い立ちみたいなのは知らないな」


樹「そうだろ。実際に魔物の数がどれくらいいるかは憶測になってしまうけど、人間と同じ数、またはそれ以上居ないと冒険者があれだけ居ることも説明が付かないんだよ」


学「どういう事だよ。何か話が飛んでないか?」


樹「だって考えてみろよ、魔物っていってもゴブンリンとかの所謂魔物らしい魔物から、鳥系、虫系、死霊系、植物系など、本当に沢山の種類の魔物が居るだろ?それらが人間よりも数が少なければ、すでに全滅または極少数にまで減っているはずだろう。何年経っているかは分からないけど」


学「そうか、魔物の数は人間より多いかもしれないな。じゃなければ街が襲われることもほとんど無いはずだしな」


樹「そうだろ。それで話を魔素に戻すけど、それだけ大量の魔物が居て、毎日冒険者たちがその魔物を狩っているわけだけど、魔物の死骸ってどうしていると思う?」


学「えっ、死骸?どうしているって、土に埋めている?持って帰ってギルドに引き取ってもらっている?かな?でもそれじゃあ」


樹「そう、数が多すぎて捌ききれないし、その魔物が腐らない保証もない。土に埋めたとしても毎回穴を掘って埋めるわけにもいかないと思うんだ。だって埋めている途中で他の魔物に襲われないって事もないだろ?」


学「そうだよな。じゃあ何で?それに魔素とどんな関係があるだ?」


樹「だから、魔物の半分くらいは魔素で作られている。って考えればそれなりに納得できる説明じゃあないか?」


学「魔物が魔素で出来ている?どういう事だ。じゃあ何でそも魔素が人間たちを襲う必要が有るんだ。そのとおりに元素なら人間を襲うことは無いだろう?」


樹「まあ一つずつ答えていくよ。まず、魔物が魔素で出来ていることからな。魔物を倒した時に消滅するように、死骸が残らずに消えるアニメなんかよくあるだろう?」


学「確かにそういうのは見たことが有る。でもそれは、ん?説明が出来ない?」


樹「全く説明ができない訳では無いけど、さっきも言ったようにゲームの世界なら有り得る話だよな。魔物の消滅フラグがたった、って感じかな。でも、そうじゃないのも有る」


学「確かに」


樹「だからそういった魔物達は魔素で出来ているんだ。だから魔物を倒すと元素となって空気中に散っていってしまう。そう考える方が合理的だろ?」


学「そうかな?じゃあ何で元素で出来た魔物達は人間を襲うんだ?」


樹「それは、人間が魔物の出す元素を吸ってしまうから。かな。花に吸い寄せられる蜂のイメージかな」


学「なんか、分かったような、分からないような。煙に捲かれているような」


樹「そうかな?じゃあある程度まとめると、魔物の半分くらいは魔素で構成された個体がいる事、残りの半分は動物や植物などの現代にも居るような物が、魔素によって魔物化したもの。そして、魔物が人間たちを襲うのは、人間たちが魔素を吸収してその魔素を利用するから。って事の方が分かりやすいか?」


学「まだその言い方のほうが納得できるな。ちなみに、何で魔物全部ではなく半分なんだ?」


樹「それは、異世界の食糧事情だな。魔物のほうが多い世界で畜産、のんびりと食用の家畜を飼うことは、中々難しいだろ。でも、食堂などでは肉料理が大量にある。という事は、異世界の人たちは魔物を食料にしている。ってことだな」


学「確かにそうか。単純な話、魔素になって消滅する魔物は食べられないが、肉体が残る魔物は食べられる。もちろん全部ではないにしても、ほとんどの魔物がそうって事か」


樹「まあ、そう考えた方が色々と都合が良いのも確かなんだよな」


学「どういう事だ?」


樹「魔法の時にも話したけれど、空間魔法はまだ解明されていない。確かに主人公たちはチート能力でアイテムボックスみたいなのが使えるのは、まだギリギリ説明できるかもしれないけど、異世界の人たちはほとんどの人が使えない。それなのに主人公と同じように洞窟に入って探索したり、かなり長い距離を移動したりしている」


学「ダンジョンなんかに何日も滞在していて、ある程度の食料を持ち込めたとしても、魔物と戦いながらその食料を守り、何日も過ごすことは確かに難しい。それなら、現地調達できる前提でダンジョンに挑んでいる、その方がまだ説得力は有るかもな」


樹「長距離移動なんかも似たような考え方だろ。極端な話、調味料だけ持って出発して、道中で魔物を狩って食料を賄う。そうすれば少ない荷物で長距離の移動もそれほど苦労はしない」


学「ああ、そうだな。魔物には寄るだろうけど、人間を襲う習性があるから向こうからやってきてくるもんな」


樹「まあ、美味いか不味いかは別にしてな。だから、食べられる魔物はその場で解体して、食べられない魔物は魔素として消滅してくれる。そのため道中必要以上に魔物に襲われる事もないし、何より倒した魔物が腐ったりして疫病みたいなのが、世界中に蔓延することもほとんど無い」


学「病気か。それもあまり考えたこと無いな。やっぱり風邪みたいなのはあるんだろうか?」


樹「うーん、風邪はほとんど無いと思うよ」


学「えっ、何で?」


樹「だって人間は魔素を吸い込んで、体内に魔素を溜めているだろ。そしてその魔素が反応して自己治癒力を高めて傷を回復している。と考えると、風邪くらいならその回復魔法なんかで自己治癒力を上げてしまえば、寝込むほどの事にはならないと思うんだ」


学「なるほどね。じゃあ手や足の切断、死者蘇生とかは?」


樹「それは、出来ない。で良いと思うよ。それらが出来てしまうと本当に何でも有りになってしまうからね」


学「そうなのか?結構死者蘇生のアニメは見たことある気がするけど」


樹「それはそうだけど。それは作品によってって感じかな。魔素で説明できないことを全て排除するつもりもないけど、死者蘇生は出来ないし、切断された手や足も元には戻らない。倫理的なもんかもな。俺の」


学「そんなもんかあ。まあそれでいいや。魔物が魔素を放出してそれを人間が吸い込んで魔法に変換している。だから魔物によっては消滅する魔物もいる。消滅しない魔物は食料となる。魔物に関してはそんなもんか?」


樹「うん、そんな感じかな。あっ、でも消滅した魔物からは魔石、魔素が結晶化した物がドロップする。ってゆうのも付け加えておいてくれ」


学「魔石?何でそれを付け加えるの?」


樹「魔石は街での街灯や市民たちの生活に利用されていることにした方が、説明がし易い。違うか、言い訳がしやすい。ってことだな」


学「どういう事?何で魔石を使って言い訳をしなければならないんだ?」


樹「異世界の時代設定をいつにするのか?によっては言い訳をしなくてもいいけど、大体が中世時代で産業革命前の時代だろ?」


学「うん、そうだな。産業革命が何時の時代化は知らないけど」


樹「ちゃんと復習しとけよ。まあいいか。中世の時代に俺達は生まれていなければ、生きてもいない」


学「当たり前だろ。いきなり何を言い出しているんだ?」


樹「だからさ、ついつい俺達は現代で普通にあるものを前提に話を考えしまうだろ。たとえば上下水道。下水道に関しは地下に水路を作って川に流すで、なんとか説明ができるけど、上水、飲水や洗濯水、食器などの洗う水なんかは説明がつかないだろ?」


学「何で?井戸があるじゃん。良く井戸で洗い物や体を拭いたりしているだろ?」


樹「それは主人公たちだけだったり、田舎で人がそれ程居ない地域なら良いんだよ。でも王国の首都なんかは、市民だけでも数十万の人達がそこで生活をしているだろ。それに下水も含めると、どれだけの水が必要なのか分からないだろ」


学「確かにそうだな。だから魔石でごまかすのか」


樹「ごまかすんじゃあ無い。魔石は色々な意味で便利だ。ってことだ」


学「まあ、そういう事にしておくか。それで、魔物を倒したら魔石がドロップされる。これが魔素を生み出している、って事だな?」


樹「いや、魔素の大元は魔王だろ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る