第23話

「ああ……アレね。俺は、あんな悪趣味な事、どうかと思ってたよ。わざわざ深山修哉のいる場所で君を辱める、なんてさ……」





「……は?」




耳を疑うような言葉に、思わず聞き返してしまったけれど……。





何を言われたかは、しっかり認識できていた。




同時に心臓がドクドクと鳴り出していて……背筋が凍りついて。





言葉から受けた衝撃に、体中が反応し始めている。





「なに……それ……っ」






「深山修哉の目に留まれば良し、仮にそうでなくても、君が壁一枚隔てた向こうで乱暴されていたなんて知ったら……深山修哉は自分の無力さを呪うだろうし、君自身、辛くて深山家にいられなくなるだろうって……。どう?この卑劣な発想。女の未練というか、もう執念って感じだよね」






「………っ」





酷い。





怖い。





もしも、そうなっていたら、と考えるだけで……。





そういう事を平気で考えて、平気で実践する人間がいると思うだけで……。





その人の……私への憎悪を感じて……。






絶望的な気持ちになる。






「俺は、そんなの上手く運ぶわけがないって、内心高をくくっていたんだ。君は警戒心が強い方だと思っていたし。……ところが、あんなにあっさり策にハマって連れ出されて来て……正直、焦ったよ」





「!?」





あんなに……あっさり?





知っていた、どころか……あの場にいて、全てを見ていたって事……?






「………最っ……低っ……」





強張る口元を無理矢理動かし、吐き出したけれど。





怒りの言葉は、声にはならなかった。





もう、十和田さんを責めたいのか、バカで情けない自分を責めたいのか、自分でも訳がわからない。

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