第136話
「あっ、副理事長先生っ」
佐々木さんはその人物を認識するなり、アプローチをひき返していってしまって。
私は、佐々木さんを置いて先に行くことも出来ず、10メートルほど先の2人の様子を眺めているしかなかった。
副理事長先生って、言ってたよね。
……という事は……彼が子供の下敷きになって入院した先生って事か……。
ちょっと遠くて良く見えないけれど……結構若くて……背が高くてスタイルもいいな……。
……というか………。
なんとなく……見覚えがあるというか……。
私は目を凝らしながら、無意識のうちに2人に向かって歩み寄っていた。
「この手袋、佐々木さんのですよねっ」
「あっ、やだ、すみません、コートのポケットに入れておいたはずなのに……気づきませんでした。」
「階段の踊り場に落ちていて……間に合って良かったです」
佐々木さんに紺色っぽい手袋を手渡して、副理事長先生と呼ばれる男の人は、ホッとしたように笑みを浮かべた。
私は、その声と笑顔を見て、体中に電撃が走ったような感覚に襲われていた。
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